2026年4月11日土曜日

その秤量、本当に正しい?分析結果を狂わせる誤差要因と対策

秤量は、試験や分析の“全部のスタート地点”になる基本操作。
ここがいい加減だったら、結果の信頼性なんてガタガタよ。

電子天秤の測定原理、ちゃんと理解してる?

天秤に試料をのせると、その重さ(重力)で計量皿が下に沈むでしょ?
電子天秤は、その重力を電磁石の磁力で打ち消して、皿が元の高さに戻るようにしてるの。
で、そのときに必要な電流の大きさを測って、「これくらいの質量ね」って表示してるってわけ。

重力の大きさは、重力加速度と物体の質量の積で表すから、電子天秤は「重力加速度」に依存してることになるの。
だから、場所が変われば――緯度とか高度によって――測定値にほんのちょっとだけ差が出るのよ。

…つまり、緯度とか高度の違いで重力が変わるから、測定される「重さ」も変わっちゃうってこと。
だから分銅を使って校正することで、どこでも正しい「質量」を測れるようにするのよ。

……まあ、最近の分析天秤はとても優秀で自動校正機能がついてるし。
…だからって油断していいわけじゃないんだからね。

水平とれてる?

天秤って水平じゃないと、重力の伝わり方が変わっちゃって、測定値にズレ――しかも系統的な誤差が出るのよ。

「なんで水平ズレで誤差が出るのか?」って?

理想的な水平状態だと、試料にかかる重力はまっすぐ下、つまり鉛直方向にだけ働くの。その力がそのまま検出機構に伝わるから、正しく測れるわけ。

でも、天秤が傾いてるとどうなると思う?

力の一部が横に逃げるの。
つまり、検出機構にちゃんと伝わる力が減るから、表示される値は本当より軽くなるの。

秤量する前に、水準器を見て水平を確認すること!
これ、基本中の基本なんだから。


温度の影響、理解してる?


「素手で触ると手の脂がつくからダメ」ってドヤ顔で言う人、いるでしょ?
あれね、間違いとは言わないけど…本質わかってないのよ。
確かに指紋で0.1~0.5mgくらい増えることはある。
でもね、それよりヤバいのは“温度”のほう。

分析天秤はとっても高感度で、周囲の温度が1℃変わるだけでも約1~3 ppmほどの誤差が生じることがあるの。
特に注意したいのが、試料や容器の温度が周囲より高い場合よ。

温かい試料や容器のまわりでは空気が温められて上昇し、対流(上昇気流)が発生する。 その空気の流れが試料や秤量皿に当たることで、下から持ち上げるような力が働くの。

するとどうなると思う?
――表示値は実際より軽くなるのよ。

つまり、まだ温かい試料をそのまま量ると、見かけ上“軽く”測定されてしまうってわけ。

ちょっと想像してみなさいよ。

200gのガラス容器に、0.1gの試料を量ろうとしている。
で、あんたの手で温まった容器をそのまま天秤に置いて、「Tare」って…はぁ、雑すぎ。
その時点で容器は冷えながら状態が変わってるの。
仮に温度が5℃変化したら?誤差は±1~3mgよ。
…0.1gに対して±1~3%のズレ。これ、無視できると思ってる?甘いわね。


静電気対策

「なんか安定しないな~」って思ってる原因、だいたいこれだったりする。
じゃあどうするか。対策はちゃんとあるわ。
静電気対策は、“予防”と“除去”の両方で考えるのが基本。

  • 室内の湿度は45~60%くらいに保つこと。
  • 除電機(イオナライザー)を使って、帯電した試料や容器を中和する。

それからね、使う器具も見直しなさい。

  • 樹脂製の容器やスパチュラ、薬包紙はできるだけ避ける。
  • 金属製のスパチュラや秤量皿を使う。
最後に言っておくけど――天秤はちゃんと清潔にしなさい。

こぼした試料や試薬をそのまま放置すると、コンタミになるし、故障の原因にもなるし、当然誤差だって出るわ。いいこと一つもないんだから。

…それにね、天秤を見れば、その会社のレベルってだいたい分かるのよ。
雑に扱われてる天秤なんて、見てるだけでため息出るわ。


参考資料

宮下文秀:ぶんせき, 3, 94 (2020)
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2020/202003p094.pdf

菅野将弘:環境と測定技術, 47, 18 (2020)
https://www.aandd.co.jp/pdf_storage/tech_doc/balance/t_balance_jemca_2020_47_1.pdf

横河エコサイクルソリューションズ ホームページ
https://www.yokogawa.com/jp-yes/use-info/column/82/?keyword=&category=a-cat-08