2020年5月10日日曜日

環境計量士と酸素自動計測器(1)|酸素の常磁性


酸素自動計測器(JIS B 7983)は、環境計量士試験で何度も出題される重要なテーマ。
試験で押さえておくべきポイントに絞って分かりやすく解説していくから。
ついでに、問題演習にもチャレンジしなさい!

この記事で取り上げるのは、酸素の常磁性を利用して測定する「磁気式」の計測器。
試験で押さえておくべきポイントは次の2つよ。

  • 酸素の常磁性とは?
  • 磁気風方式とは?

はじめに、JISの記述の確認ね。

磁気式(の計測器)は、常磁性体である酸素分子が磁界内で,磁化された際に生じる吸引力を利用して酸素濃度を連続的に求める(測定する)もの(装置)。[4.1]

この文章はかなり重要よ。
そのまま試験問題に登場することだってあるんだから。

……とはいっても、これだけ読んでも「結局、どうやって酸素濃度を測ってるの?」ってなるでしょ。

だからまずは、「酸素の常磁性とは何なのか?」からはじめる。


酸素の常磁性とは?

さて、ここからが本題。
まずは、酸素の不思議な性質が一目でわかる動画を見なさい。


どう?
酸素でふくらませたシャボン玉が、ネオジム磁石に引き寄せられたでしょ。

酸素は強い磁場の中におくと、磁石に引き寄せられる性質を示す。この性質を常磁性というの。

そして、この酸素の常磁性を利用して酸素濃度を測定するのが、磁気式の酸素自動計測器よ。

さて、酸素の常磁性を利用した計測器には、2つの方式がある。

  • 磁気風方式
  • 磁気力方式(ダンベル型と圧力検出型)

環境計量士試験で主に出題されるのは磁気風方式。だから、次の記事では磁気風方式を中心に説明していく。

ここで問題演習!
ほら、理解度を試してみなさい!
⭐ 過去問演習(第64回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち誤っているものを一つ選びなさい。

1.ジルコニア方式では、高温に加熱した固体電解質を用いて、比較ガスと試料ガスの酸素濃度の差を検出する。
2.磁気式の計測器は、酸素が関与する電気化学的な酸化還元反応を利用して酸素濃度を測定する。
3.電極方式の計測器は、電気化学式に分類される。
4.磁気力方式には、ダンベル形と圧力検出形の2種類がある。
5.ジルコニア方式の干渉影響試験では、一酸化炭素と酸素を含む試験用ガスを使用する。

解説

まずは選択肢1から見ていく。
ジルコニア方式については、まだ説明してないから、ここはいったんパス。

次は選択肢2。
これは磁気式の計測器について書かれている。よく見ると、

「酸素の電気化学的な酸化還元反応を利用している」

と書いてある。
ここが間違い。

磁気式の計測器が利用しているのは、酸素の常磁性。
酸素が磁界に引き寄せられる性質を利用して、酸素濃度を測定しているの。

したがって、選択肢2が誤り。
……ここまでの記事をちゃんと読んでいたなら、これはサービス問題ね。

【解答】2


酸素以外のガスに常磁性はないの?

そう思った人、いいところに気づいたわね。

実は、酸素以外のガスがすべて常磁性を示さない、というわけじゃないの。
ただし、一般的なガスは、ごくわずかな反磁性(磁石から反発する性質)を示す。

そして、少し注意が必要なのが一酸化窒素(NO)。
一酸化窒素も常磁性を示すのだけれど、その強さは酸素ほど大きくない。

「じゃあ、酸素の測定には影響しないの?」

残念ながら、そう簡単にはいかないの。
一酸化窒素の常磁性によって、酸素濃度を実際より高く示す正の干渉が生じる可能性がある。
だから、JISには

この方式は、体積磁化率の大きいガス(一酸化窒素)の影響を無視できる場合に適用できる。

と記載されているの。


⭐ 過去問演習(第66回, 問題文を一部編集・再構成)

問19「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選べ。

1.ジルコニア方式では、磁界中で磁化されたジルコニアに働く吸引力を利用して、酸素濃度を測定する。
2.磁気式の計測器は、一酸化窒素の影響を無視できる場合に適用できる。
3.試料ガスを採取する採取管には、石英ガラス製のものを必ず用いる。
4.試料採取部の導管は、試料ガス中の水分を凝縮させる目的で、十分に冷却して使用する。
5.ダンベル形は、電気化学的な反応を利用する計測方式に分類される。

解説

選択肢1から順番に見ていくわ。

選択肢1
ジルコニア方式では、磁化は関係ないの。

そもそも、磁力を利用して酸素濃度を測定する方式じゃないからね。
したがって、誤り。

選択肢2
これは、さっき説明した内容ね。

磁気式の計測器では、酸素の常磁性を利用して酸素濃度を測定する。
ところが、一酸化窒素も常磁性をもっているから、測定に影響を与える可能性があるの。

その結果、酸素濃度を実際より高く示す正の干渉が生じることがある。
だから、一酸化窒素の影響を無視できる場合に適用するのよ。

ということで、正解は2。

🌿 まとめ
  • 酸素には常磁性がある。
  • 磁気式は、酸素の常磁性を利用した自動計測器。
  • 磁気式には、磁気風方式と磁気力方式がある。
  • 一酸化窒素も常磁性を示す。しかし、その強さは酸素ほど大きくない。

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