2026年10月5日月曜日

環境計量士と排ガス/大気中のNOx測定(2)|化学発光方式

次に攻略するのは、化学発光方式よ。

化学発光方式は、NOxの測定方法の中でも比較的よく出題される重要な測定法。

だから「NOとオゾンが反応して光る」という基本原理だけでなく、なぜ光るのか、妨害成分には何があるのかまで押さえておきたいところね。


化学発光方式の仕組み

化学発光方式では、一酸化窒素(NO)とオゾン(O3)を反応させ、そのときに発生する光を測定するの。

反応は、次のように表されるわ。

$$\mathrm{NO+O_3\rightarrow NO_2^*+O_2}$$

ここで重要なのが、生成する励起状態の二酸化窒素(NO2*)よ。

NOとO3が反応すると、通常の二酸化窒素(NO2)ではなく、エネルギーの高い励起状態のNO2*が生成するの。

このNO2*が、元の安定した状態(基底状態)に戻るとき、余分なエネルギーを光として放出するってわけ。

$$\mathrm{NO_2^*\rightarrow NO_2+h\nu}$$

この光を検出器で測定するのが、化学発光方式の基本的な仕組みね。
そして、一定の測定条件では、化学発光の強度は試料ガス中のNO濃度に比例するわ。

二酸化窒素とオゾンでは発光しないの?

発光しない。

化学発光方式で利用しているのは、NOとO3の反応によって生じるNO2*からの発光。 だから、化学発光式NOx分析計では、NO2をいったんNOに変換してから測定するの。

その変換(還元)を行うのが、コンバーターよ。


最後に妨害成分!

化学発光方式では、水分や二酸化炭素が妨害成分になることがある。

これらは、生成した励起状態のNO2*と衝突することで、NO2*が光を放出する前にエネルギーを失う、いわゆる消光(クエンチング)を起こすの。

その結果、発光強度が低下し、NO濃度の測定値が低めになるってわけ。

ここまで説明したんだから、次の過去問くらい解けるわよね?
ほら、実力を試してみなさい!
⭐ 過去問演習(第74回, 問題文を一部編集・再構成)
問11 「JIS B 7982 排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち、誤っているものを一つ選べ。

1.化学発光方式の計測器では、共存する二酸化炭素による影響を考慮する必要はない。
2.紫外線吸収方式の計測器は、一酸化窒素と二酸化窒素の濃度をそれぞれ測定できるため、窒素酸化物濃度は両者の測定値を合計して求める。
3.試料ガス吸引採取方式の試料採取部には、必要に応じて水分を除去する機能、または水分を一定量に保つ機能を持つものを使用する。
4.複光束形の赤外線吸収方式分析計では、比較セルに試料セルと同じ形状で、窒素などを封入したものを用いる。
5.一酸化窒素濃度のみを測定できる計測器を用いて窒素酸化物濃度を測定する場合は、あらかじめ二酸化窒素を一酸化窒素に変換して測定する。

解説

選択肢1から順番に見ていく。
化学発光方式では、共存する二酸化炭素が妨害成分となることがあるの。
そのためJISでは、共存する二酸化炭素の影響を無視できる場合、またはその影響を除去できる場合に適用するとされているわ。
したがって、「二酸化炭素の影響を考慮する必要はない」とする選択肢1の記述は誤り。

【解答】1

⭐ 過去問演習(第73回, 問題文を一部編集・再構成)
問11 「JIS B 7953 大気中の窒素酸化物自動計測器」に規定されている化学発光方式の計測器の原理について、次の記述の(ア)~(ウ)に当てはまる語句の組合せとして、正しいものを一つ選べ。

本計測器では、試料ガス中の(ア)と(イ)が反応することによって生じる化学発光の強度が、(ウ)濃度と比例関係にあることを利用している。

 
 選択肢  (ア)  (イ)  (ウ) 
1NONH3N2O
2NO2H2NO2
3NO2H2NO
4NOO3NO
5NOO3NO2
解説

化学発光方式では、一酸化窒素とオゾンを反応させ、そのときに発生する光を測定するの。
そして、一定の測定条件では、発生する化学発光の強度は、試料ガス中の一酸化窒素の濃度に比例するわ。
つまり、(ア)=一酸化窒素 (NO)、(イ)=オゾン (O3)、(ウ)=一酸化窒素 (NO)となる。

【解答】4

⭐ 過去問演習(第71回, 問題文を一部編集・再構成)
問11 「JIS B 7982 排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち、誤っているものを一つ選べ。

1.測光部には、光電子増倍管や半導体光電変換素子などが使用される。
2.試料吸引ポンプの接ガス系には、耐食性に優れた材料を使用する。
3.試料採取部の導管は、十分に冷却する。
4.本装置で測定する窒素酸化物とは、一酸化窒素と二酸化窒素の合計量を指す。
5.本装置は、一酸化窒素とオゾンを反応させた際に発生する化学発光を検出することを原理としている。

解説

選択肢1から順番に見ていくわよ。
「排ガス・大気NOx」のところでは詳しく解説していないけれど、原子吸光やICP発光の測光部と同じように、光電子増倍管が使用されるの。
だから、この記述に誤りはないわ。
ここは、分からなければ無理に考えずパスしてもかまわないわよ。

選択肢2
「接ガス系」とは、試料ガスと直接接触する部分・部材の系統のこと。
当然だけど、ガスと直接接触する部材が腐食したら、正確な測定なんてできないわよね。 だから、試料ガスが接触する部分には耐食性のある材料を使用する必要があるの。
したがって、選択肢2の記述にも誤りはないわ。

選択肢3
NOxの測定に限った話じゃないけれど、試料ガスを通す導管をむやみに冷却すると、ガス中の水分が凝縮してしまう。
さらに、その凝縮水に測定対象のガス成分が溶け込んでしまえば、測定値にも影響するし、温度条件によっては凝縮水が凍結して、導管を閉塞させるおそれもあるわ。
だから「試料採取部の導管は十分に冷却する」とする記述は誤り。

【解答】3

⭐ 過去問演習(第67回, 問題文を一部編集・再構成)
問10 「JIS B 7982 排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器」に規定されている化学発光方式による排ガス中の窒素酸化物分析方法について、次の記述のうち、誤っているものを一つ選べ。

1.この分析方法は、二酸化窒素の測定には適用しない。
2.過酸化水素との反応によって生じる化学発光の強度を測定する。
3.共存する二酸化炭素の影響を無視できる場合、またはその影響を除去できる場合に適用する。
4.一酸化窒素と二酸化窒素の合計濃度を求める場合は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換した上で測定する。
5.ステンレス鋼製の採取管を使用すると、一酸化窒素と二酸化窒素の比率が変化する可能性がある。

解説

選択肢1から順番に見ていくわよ。
この分析方法で測定できるのは、一酸化窒素(NO)と、コンバーターによって一酸化窒素に変換できる二酸化窒素(NO2)よ。
一方、一酸化二窒素(N2O)はコンバーターで一酸化窒素に変換できないの。
したがって、選択肢1の記述に誤りはないわ。
ここが分からなければ、無理に考えずパスしてもかまわないわよ。

選択肢2
化学発光方式は、「NOとオゾン(O3)が反応すると光を発する」という性質を利用した分析方法なの。これは化学発光方式の基本中の基本。
だから、選択肢2の「過酸化水素との反応によって生じる化学発光」という部分が誤り。

【解答】2


📖関連記事