2019年12月8日日曜日

総発熱量と真発熱量の違いをわかりやすく解説!

総発熱量と真発熱量の違いとは?

石炭をはじめとする燃料を評価する手段の1つとして発熱量があります。
この発熱量は 総発熱量高位発熱量と 真発熱量低位発熱量の2つに分類されますが、その違いはなんでしょうか?

燃料を燃焼させる環境をイメージして下さい。

総発熱量は、密閉空間で燃料を燃焼させたときのイメージであり、
真発熱量は、密閉空間ではない(煙突がある)環境でのイメージです。


燃焼する環境が異なると、どうして発熱量に影響するのでしょうか?

通常、石炭などの燃料を燃焼すると水蒸気が発生します。
これは燃料に含まれている水素と空気中の酸素が反応した結果です。(もちろん、燃料に元々含まれている水分も関係します)

煙突がある環境では、発生した水蒸気は煙突から放出されますが、
密閉空間の場合では、水蒸気は周囲に熱を放出しながら再び水に戻ります。

つまり、密閉空間で石炭などの燃料を燃焼した場合、2つの熱量が発生することになります。

  • 試料(石炭などの燃料)の燃焼に由来する熱
  • 水蒸気が水に戻るときに放出する熱

この2つの熱量を合わせたものが総発熱量です。
一方、真発熱量は試料(石炭などの燃料)の燃焼に由来する熱のみの発熱量です。


総発熱量と真発熱量の関係を式で表してみる

水蒸気(気体)が水(液体)に戻る現象を「凝縮する」といい、凝縮するときに周囲に放出する熱のことを「凝縮熱」といいます。
この凝縮熱という用語を使って、総発熱量と真発熱量の関係を式で表すと次のようになります。

真発熱量=総発熱量-水蒸気の凝縮熱


水蒸気の凝縮熱とは?
水蒸気が水に戻るとき、なぜ熱が発生するのか?

夏の暑い日に、庭や道路に水をまくと涼しくなりますね。
これは水が蒸発するときに、庭や道路の熱を奪うことで周囲の温度を下げているからです。これとは逆の現象が、水蒸気が水に戻るときに必ず起きます。

つまり、水が水蒸気になるときには必ず周囲から熱を奪いますが、水蒸気が水に戻るときは奪った熱を必ず周囲に放出します。


真発熱量は測定できない⁉

発熱量を測定するには、熱量計(カロリーメーター)という装置を使用します。
しかし、この熱量計から得られる発熱量は総発熱量だけであり、真発熱量を測定することはできません。

それじゃあ、真発熱量を知ることはできないの?

いやいや、そんなことはありません。
ここで、先ほどの総発熱量と真発熱量の関係式を思い出してください。

真発熱量=総発熱量-水蒸気の凝縮熱

真発熱量を知るには、総発熱量から水蒸気の凝縮熱を除けば良いのです。

25℃の水1g 相当の水蒸気の凝縮熱は 2305 J(ジュール)ですから、試料に含まれる正確な水の量が分かれば、発生する凝縮熱の熱量がわかります。

また、試料(燃料)に含まれる水素からも水が発生しますから、水素の量も調べる必要があります。

ですから、分析会社に真発熱量の測定依頼をすると、次の分析項目が必ずセットになります。

総発熱量
水素
水分

見積書をご覧になったお客様から「真発熱量だけの依頼なのに、何で余計な項目が入ってるんだ!」というお叱りを受けることがありますが、その理由はいま説明した通りです。

総発熱量と真発熱量の違いについて、ご理解して頂けたでしょうか?
次回は、総発熱量から真発熱量を求める計算方法について、詳しく見ていきたいと思います。


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参考文献・参考資料
JIS M8814 (2003)
日本冷凍空調学会.“最近気になる用語153 高位発熱量と低位発熱量”
日本冷凍空調学会ホームページ. http://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/153.html,
(参照 2018-01-27)