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2020年5月6日水曜日

第70回環境計量士国家試験(環濃)問7の解説

問7(第70回 環濃)
日々の業務で ICP 発光分光分析装置を使用しているのなら、即答できる内容です。


ICP 発光分光分析法における3つの定量方法を答えよ!


みたいな質問をされたら、次の3つが即答できるようにしましょう!
  1. 発光強度法
  2. 内標準法
  3. 標準添加法
※JIS K 0116 では、発光強度法も内標準法も検量線法の一つとして分類されいるようです。私個人としては、検量線法、内標準法、標準添加法という認識ですが...


ちなみに、ICP 質量分析法における定量方法は次の4つです。これも即答できたほうが良いですね。
  1. 検量線法
  2. 内標準法
  3. 標準添加法
  4. 同位体希釈分析法

というわけで、選択肢3の同位体希釈分析法が 「JIS K 0116 発光分光分析通則」に記載のない定量法ということになります。
正解は

2020年5月3日日曜日

第70回環境計量士国家試験(環濃)問4の解説

問4(第70回 環濃)
分離度については、私の知る限り初めての出題かもしれません。
また、分析条件等の検討を行う際に必要となる知識ですから、ルーチン分析においては重要度が低いと言えるでしょう。


分離度(Resolution)は、隣接する2つのピークがどの程度分離しているのかを数値化したもので、数値が大きいほど良く分離していることを表します。

分離度の求め方は、2つのピークの頂点間の距離をそれぞれのピーク幅の平均値で割ります。
(※日本薬局方およびJIS 高速液体クロマトグラフィー通則とは式が異なります。)


2つのピークの頂点間の距離は同じでも、ピーク幅が狭いほど(ピークがシャープなほど)分母が小さくなり分離度は大きくなります。


正解は




2020年4月30日木曜日

第70回環境計量士国家試験(環濃)問2の解説

問2(第70回 環濃)
モル濃度計算は現場でも役に立ちますから、ぜひマスターしてください。


はじめに濃硫酸 1ml 中に含まれる硫酸の質量を計算します。

1.84 (g/ml) × (95/100) = 1.748 (g/ml)

上の式より、濃硫酸 1ml 中には 1.748g の硫酸が含まれていることが分かりました。
次に、硫酸 1.748 g を mol に変換します。

1.748 (g/ml) ÷ 98.0 (g/mol) = 1.784 × 10-2 (mol/ml)

上の式より、濃硫酸 1ml 中には 1.784 × 10-2  mol の硫酸が含まれていることが分かりました。
ちなみに、濃硫酸 1L 中には 1.784 × 10-2 × 103 より 17.8mol の硫酸が含まれていることになりますから、濃硫酸のモル濃度は 17.8 mol/L となります。


こんどは、3.00 mol/L の硫酸水溶液500ml の中に含まれる硫酸の物質量を計算します。

3.00 (mol/L) × (500/1000) (L) = 1.50 (mol)

上の式より、 3.00 mol/L の硫酸水溶液500ml の中には 1.50 mol の硫酸が含まれていることがわかりました。

濃硫酸 1ml 中には 1.784 × 10-2  mol の硫酸が含まれているので、下の計算式より濃硫酸 84.08 ml の中に 1.50 mol の硫酸が含まれていることが分かります。

1.50 (mol) ÷ (1.784 × 10-2) (mol/ml) = 84.08 (ml) 

したがって、濃硫酸 84.08 ml を水で希釈して 500 ml に定容すれば完成です。

正解は

2020年4月29日水曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問4の解説

問4(第70回 環化)

化学分析屋も排出水を排出しますから、水質汚濁防止法の第14条(特に第1項)については知っておく必要があると思います。
自社の排水の分析を経験されている方も多いことでしょう。

第14条第1項
排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の汚染状態を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

以上より、空欄(ア)には E の文章が入ります。のなかで、この組み合わせはしかありません。したがって、が正解となります。


大都市圏の化学分析屋は総量規制基準が関係してくるかもしれません。

総量規制基準とは?
人口・産業が集中する広域的な閉鎖性海域の水質汚濁を防止するため、これらの海域における汚濁負荷量を削減する制度。

指定水域:東京湾、伊勢湾、瀬戸内海
指定項目:COD、窒素、りん

第14条第2項
総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出水を排出する者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水の汚濁負荷量を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

汚濁負荷量=濃度×水量

2020年4月28日火曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問25の解説

問25(第70回 環化)
半減期から放射性物質の濃度を求める問題で、高校で学習する内容です。

ある放射性物質の半減期をT,最初の量を C0 とすると、t 年後のその放射性物質の量 C は次の式で求められます。

さっそく、この式を使って6年後の A と B の物質量を計算してみます。

6年後の A の物質量に対する B の物質量を求めたいので、計算式は次のようになります。

B0 / A0 = 0.25 / 0.35 = 0.714

正解は

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 2019.12 問24

令和元年(12月)第70回

高校で学習するアルコールの性質と反応についての知識を問う問題。


「比誘電率」という見たことも聞いたこともない用語があるので、ここはは後回し。

アルコールのように-OH(ヒドロキシ基)を持つ分子には H+(プロトン)を出す力があります。アルコールの場合、その力は水よりも弱いため、H+ を出すけれど中性物質に分類されてしまう。
さて、アルコールに強い還元力をもつ金属ナトリウムを加えますと、Na は H+ を還元してH2 にしてしまいます。

2R-OH + 2Na → 2R-ONa + H2

したがって、選択肢2の記述内容は誤りです。
余談ですが、この反応はエーテルのような -OH(ヒドロキシ基)をもたない有機物には起こらないので、-OH をもつ有機物の検出に用いられます。



図のように、エタノールの酸素原子には非共有電子対があります。
したがって、選択肢の記述内容は誤りです。



問23で解説しましたが、炭素数が3つ以下のアルコールは水に可溶です。これに対し、ヘキサンはアルカン(鎖式飽和炭化水素)ですから、ヒドロキシ基(-OH)をもたないので水に不溶です。

したがって、選択肢の記述内容は誤りです。



はじめに、ヘキサンとエタノールの分子式を書いてみます。

ヘキサン :C6H14
エタノール:C2H6O

※ヘキサン(hexane)は6つの炭素が結合したアルカンです。
高校化学では必ずしも扱う物質ではありませんが(実務ではよく扱います)、hexaが6を意味し、aneがアルカン(alkane)を意味することを考えれば、その分子式が C6H14 であることは想像に難くないはずです。

次に、それぞれの原子量を C=12, O=16, H=1 として分子量を計算します。

ヘキサンの分子量 :12×6+1×14=86
エタノールの分子量:12×2+16×1+1×5=46

したがって、 選択肢の記述内容は誤りです。
以上より、正解は消去法でとなります。

第70回環境計量士国家試験(環化)問23の解説

問23(第70回 環化)

はじめに、選択肢の物質を水に溶ける物質と水に溶けない物質に分けてみます。

気体は水に溶けて塩基性を示すとき、その気体を塩基性気体とよびます。酸性を示すときは酸性気体、水に溶けない気体は中性気体とよびます。
いくつか、具体例を挙げます。

塩基性気体:NH3
酸性気体:Cl2, HCl, SO2, NO2, CO2, H2S
中性気体:H2, N2, O2, CO, NO
(これらはもちろん高校で学習する内容です。)


ところで、『似たものどうしは良く溶け合い、似ていないものどうしは溶けない』という話を聞いたことはありますか?

これは、溶質と溶媒の関係をうまく表現しています。すなわち、極性分子は極性溶媒に良く溶け、無極性溶媒にはあまり溶けないことを意味します。

水はとても極性の強い物質ですから、同じような極性の強い物質を溶かします。選択肢の中で、極性のある物質は 1-ブタノールと D-グルコースです。四塩化炭素は無極性分子ですから、水には溶けません。

アルコールは炭化水素基(疎水基)とヒドロキシ基(親水基)から構成されています。ヒドロキシ基は、水分子と水素結合して水に溶け込もうとしますが、炭化水素基は、水に溶解しないようにはたらきます。したがって、炭素数の大きいアルコール(炭素数が4以上)では炭化水素基の作用が強くなり,水に溶けにくくなります。

糖には多くのヒドロキシ基(-OH)をもっていますから、水に良く溶けます。


以上より、
:水に不溶
:水にそこそこ可溶
:水に不溶
:水に可溶
:水に可溶


つぎは水に溶けたあとのことを考えます。
「高い電気伝導率を示す」ということなので、なんらかの電解質である必要があります。電解質は水などの溶媒に溶かすと陽イオンと陰イオンに分かれ、溶媒中をイオンが自由に動き回るので電気が通じます。

さて、二酸化窒素とD-グルコースが水に溶けると何か起きるのでしょうか?

二酸化窒素が水に溶けると硝酸ができます。その硝酸は H+ と NO3- に電離しますから、その水溶液は高い電気伝導率を示します。

3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
HNO3 → H+ + NO3-

一方、D-グルコースは水に溶けただけで電離しませんから、その水溶液が電気伝導率を示すことはありません。


正解は

2020年4月27日月曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 2019.12 問22

令和元年(12月)第70回

問15で登場した双極子モーメントの再登場です。
双極子モーメントとは、極性分子がどれくらい極性なのか?これを数値化したものでした。
また、二酸化炭素を具体例として挙げて双極子モーメントが0であることも説明したので、CO2 を含む選択肢のは誤りとなります。


分子が極性か?非極性か?は、それぞれの結合の極性と非共有電子対の位置、分子の立体形をもとに判定しますが、幸いなことに、試験によく登場する分子はある程度決まっています。

試験によく出る極性分子:NH3, H2O, H2S, HF
試験によく出る無極性分子:CO2, CH4

したがって、(ア)と(オ)が極性をもつ分子です。これらを含む選択肢が正解となります。





2020年4月26日日曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問21の解説

問21(第70回 環化)
高校で学習する内容です。できなかった個所は完璧になるまで繰り返し練習しましょう。

イオン化エネルギー
原子から電子を取り去るには、くっついているものを引き離さなければならないので、外部からエネルギーを加える必要があります。

たとえば、アルカリ金属のような陽イオンになりやすい元素は加えるエネルギーが小さくて済みますが、希ガスのような非常に安定した原子から電子を取り去るには大きなエネルギーが必要となります。

このエネルギーには名前があります。
(第1)イオン化エネルギー といい、気体状態の原子から電子1個を取り去るのに必要なエネルギーのことです。

また、同族元素では原子番号が大きくなるほど(周期表の下にいくほど)イオン化エネルギーが小さくなります。
その理由は、原子番号が大きくなるほど取り去る電子と原子核との距離が大きくなるためです。


電子親和力
電子と引き離されている原子には、電子とくっつきたいという激しい衝動があります。その衝動の強さ・激しさは原子によって異なりますが...

たとえば、ハロゲンのように簡単に陰イオンになりやすい元素には、電子とくっつきたいという衝動が強いですし、アルカリ金属のように陽イオンになりやすい元素には、電子とくっつきたいという衝動は弱いです。

願いが叶って、原子は電子と一緒になれたとします。
電子と一緒になれた原子からは激しい衝動が消え去りますが、この消え去る激しい衝動には名前があります。
電子親和力 といい、気体状態の原子が電子1個を受取って1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーのことです。


設問の解説

 
設問にある「基底状態にある原子から電子を取り去って無限に遠ざけるために必要なエネルギー」とは、イオン化エネルギーのことです。



イオン化エネルギーは、同族元素では原子番号が大きくなるほど(周期表の下にいくほど)小さくなります。
けい素のほうが炭素より原子番号が大きいので、イオン化エネルギーは小さくなります。


正解は


既に正解は出ましたが、残りの選択肢も見てみます。


電気陰性度は、結合状態の原子が共有電子対を自分の方へ引き寄せる強さを数値化したものです。この数値は化学を学習する上で非常に大事なものですから、次に挙げるものは覚えてしまいましょう。

F (4.0) > O (3.4) > Cl (3.2) > N, Br (3.0)


4
原子半径は、原子の中心から最外殻電子が存在している所までの距離です。つまり、K殻=第1周期、L殻=第2周期、M殻=第3周期... の順番に原子半径は大きくなります。

設問のように同じ周期の中だけで考えるときは、原子番号が決め手となります。

最外殻の電子は原子核の中にある陽子に引き寄せられおり、「陽子の数が多い」=「引き寄せる力が強い」ことを意味します。

そして「陽子の数」=「原子番号」ですから、同じ周期では原子番号が大きいほど原子半径は小さくなります。


5
陰イオンになると、電子の増加による電子同士の反発力が大きくなり、原子半径は大きくなります。

第70回環境計量士国家試験(環化)問20の解説

問20(第70回 環化)
結合と結晶に関する設問で、高校で学習する内容です。

「アルゴンは分子じゃないから、が間違いだ!」とやってしまうと不正解です。分子結晶とは分子間力によって引き寄せられた結晶のことです。


原子や分子が規則正しく配列している固体のことを結晶といい、結合の種類によって次の4つに分類されます。

共有結合で結ばれているとき  → 共有結晶
金属結合で結ばれているとき  → 金属結晶
イオン結合で結ばれているとき → イオン結晶
分子間力で結ばれているとき  → 分子結晶


それでは選択肢を順番に見ていきましょう。

 
ヨウ素(I2)は常温・常圧で固体の物質です。その結晶は、分子間力の1つであるファンデルワールス力によってヨウ素分子同士が結合していますから、分子結晶です。


二酸化ケイ素(SiO2)の結晶といえば、水晶(石英)が有名です。その結晶は、共有結合によってケイ素原子と酸素原子が交互に結合していますから、共有結晶です。


二酸化炭素の個体はドライアイスとして有名です。その結晶は、分子間力の1つであるファンデルワールス力によって二酸化炭素分子同士が結合していますから、分子結晶です。


アルゴン(Ar)は非常に安定した物質ですから、分子を作らずアルゴン原子の状態で空気中に漂っています。(アルゴンは窒素、酸素に次いで空気中で3番目に多い気体です)
そんなアルゴンも低温(-233℃くらい)にすると固体になります。その結晶は、分子間力の1つであるファンデルワールス力によってアルゴン原子同士が結合していますから、分子結晶です。


氷の結晶は、分子間力の1つである水素結合によって水の分子同士が結合していますから、分子結晶です。


正解は

2020年4月25日土曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問19の解説

問19(第70回 環化)

過去問演習をやると良いことがあります。
第69回では「水の状態図」について出題されました。今回は「二酸化炭素の状態図」についての出題です。



図から分かる通り、点①は液体です。


「二相が共存する」ということは、点②は融解曲線上しか移動できないことになります。融解曲線は右側に傾いていますから、温度を上げるには圧力も上げる必要があります。


二酸化炭素は融解曲線が右側に傾いているので、固体(ドライアイス)に圧力を加えると融点が高くなります。
したがって、これが誤りです。

なお、水の融解曲線は左側に傾いているので、氷に圧力を加えると融点が低くなります。


大気圧は 1.0 × 105 Pa です。
図から分かる通り、どんなに冷却しても二酸化炭素が液体になることはありません。-78.5℃以下になると固体になってしまいます。


図から分かる通り、35℃は臨界点を超えています。臨界点を超えると気体と液体の区別のない超臨界状態ですから、液化はしません。


正解は

2020年4月24日金曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問18の解説

問18(第70回 環化)

示差熱分析(DTA)とX線回折分析(XRD)経験者なら楽勝、知らない人にはクリアできない設問です。
XRD は知ってるけど、DTA は知らない人が多いかもしれません。


示差熱分析(DTA)は、試料を加熱する過程で起こる物理変化(融解や蒸発)や化学変化(分解や還元、酸化、吸着)に伴って発生する熱変化を検出する分析です。通常は重量変化も同時に検出しているので、熱重量・示差熱分析(TG-DTA)とよびます。

たとえば、TG-DTA で水酸化カルシウムを測定すると、400℃と600℃付近で吸熱ピークを伴う減量が発生します。
これは 400℃ 付近で水酸化カルシウムに含まれていた水分が蒸発し、600℃ 付近で大気中の二酸化炭素との反応により生成してしまった炭酸カルシウムの分解と推測されます。

このように、TG-DTA は昇温過程で起きる状態変化(相転移)を知ることができます。


さて、問題文を見てみましょう。

「~昇温過程において、( ア )により相転移による吸熱ピークが確認された。」

太字がヒントです。ここで示差熱分析(DTA)だと気づくはずです。
選択肢はに絞られました。


X線回折分析(XRD)は、結晶構造の解析や無機物質の同定などが行えます。
試料(結晶)にX線を照射すると、結晶中の各原子(規則配列した原子)により X 線が散乱されます。散乱された X 線は、物質の原子・分子の配列状態(結晶構造、格子の大きさなど)によって物質特有の回折パターンを示しますので、これを解析することで結晶構造を知ることができます。
逆に、結晶構造を持たないものは測定できません。


再び問題文を見てみましょう。

「~ピークが消失したことから非晶質への変化が確認された。」

太字がヒントです。
X線回折分析(XRD)は、結晶構造を持たないもの(非晶質)は測定できない(ピークがでない)。

正解は

第70回環境計量士国家試験(環化)問17の解説

問17(第70回 環化)

1~3の正誤判定は高校で学習する内容が身についていれば、それほど難しくないはずです。4と5は多くの人が勘違いするポイントで、特に4は大学で学習する内容ですから、ちょっと正解に至るには難しいかもしれません。


1.
臭素...このネーミングで無臭なわけがない。もちろん臭います。

ハロゲンに関する出題は過去に何度もありますが、臭いをターゲットにした出題は初めてかもしれません。
ハロゲンは頻出のテーマなので、まとめておきましょう。


①ハロゲンの単体はどれも二原子分子なので無極性分子です。
②原子番号を覚える必要はありませんが、原子番号が大きいほど原子半径が大きいことを忘れないでください。
③電気陰性度も覚える必要はありませんが、電気陰性度が大きいほど酸化力が強いことを忘れないでください。
④状態・色・臭いは覚えてください。


2.
会社で「酸素は水に溶けない。」と言ったら、正社員に「派遣社員は溶存酸素量(DO)も知らないのか!」とバカにされました。

酸素が水にまったく溶けないわけではありませんが、1 atm, 25℃ における蒸留水中の飽和溶存酸素量は 8.11mg/L です。こんなの溶けたうちに入りませんから、その水溶液の性質は酸素の影響を受けません。つまり、中性です。

ちなみに、1 atm, 25℃ における二酸化炭素の水への溶解度は 1.45g/L で、酸素のおよそ180倍です。


3.
音の出ないサイレントなオナラを「すかしっ屁」といいます。
サイレントなはずなのに、すかしっ屁を放ってから数秒後には「誰かオナラしたな!」と気付かれてしまいます。なぜならオナラは、熱運動による拡散によって部屋に充満するからです。
水素も窒素も同じように熱運動によって拡散します。特定の場所に凝縮することはありません。もしオナラが特定の場所に凝縮したら大惨事ですよ。


4.
硫酸は2価の強酸ですから、H+ を2個とも放出すると思いたくなる気持ちは分かります。でも、実際は違います。
硫酸はその水溶液中では、次に示すように2回に分けて電離します。

(1段目) H2SO4 → H+ + HSO4- 

(2段目) HSO4- → H+ + SO42-

1段目の電離はほぼ100% 進みます。しかし、2段目の電離が100% 進むことはほぼありません。

したがって、0.050 mol/L の硫酸水溶液の H+ 濃度は 0.050 mol/L 以上 0.10 mol/L 未満になるので、pH は 1.0 よりも大きくなります。


5.
塩酸は酸化力をもつ酸と誤解されることがあります。
たしかに、希塩酸の中に鉄くぎを入れると気泡を発しながら溶けていきますから、誤解してしまうのは仕方のないことかもしれません。この希塩酸と鉄くぎとの化学反応式を書いてみると、いろいろと見えてきます。

Fe + 2HCl → FeCl2 + H2

まず、発生していた気泡の正体は H2 でした。
そして、この H2がどこからやってきたのかというと... HCl から電離した2つの H+ が 鉄くぎと酸化還元反応した結果、生まれたのです。

2H+ + 2e- → H2
Fe → Fe2+ + 2e-

「ほら見ろ!塩酸が鉄くぎを酸化してるじゃないか!」

と思うかもしれませんが、よ~く見てください。
鉄くぎを酸化しているのは、Cl- ではなく H+ です。H+ は自分よりもイオン化傾向の大きい元素を酸化します。


次は、酸化マンガン(Ⅳ)に塩酸を加えみましょう。

MnO2 + 4HCl → MnCl2 + Cl2 + 2H2O

酸化マンガン(Ⅳ)が塩化物イオンに還元されて溶解し、塩化マンガン(Ⅱ)水溶液になります。

Mn4+ + 2e- → Mn2+
2Cl- → Cl2 + 2e-

以上より、塩酸は一般的に酸化力をもたない酸に分類されます。


正解は

2020年4月23日木曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問15の解説

問15(第70回 環化)

難易度は高校で学習する数学の内容ですが、「双極子モーメント」という用語を見てパニック状態に陥ってしまうかもしれません。
というわけで、双極子モーメントの話をしてから問題を解いていくことにします。


双極子モーメント
硫化水素分子の電気陰性度は水素が 2.30、硫黄が2.59 です。そのため、硫黄原子側に共有電子対が引き寄せられていて、硫黄原子側がマイナスの電荷を帯びています。反対に水素原子側はプラスの電荷を帯びています。
このように電極が偏っているとき、結合に極性があるとか極性結合と呼びます。

硫化水素分子は結合部分だけでなく、分子全体の電極が偏っているので極性分子となります。


そして、極性分子がどれくらい極性なのか?これを数値化したものが双極子モーメントです。(今回はこの計算式の出番はないけど...)

双極子モーメント=電気素量×原子間距離×(イオン結合性 / 100)

ちなみに、二酸化炭素は結合に極性がありますが、分子全体でその極性を打ち消しあっているので無極性分子です。(両側から同じ力で綱引きをしているイメージです)
そして、無極性分子の双極子モーメントはゼロです。



設問を解いていきましょう。ここからは、数学のベクトルの問題です。
設問には「H-S-H の結合角は90°とする」とあるので、分子構造は左下の図のようになります。
そして、分子の双極子モーメントが 3.2×10-30 Cm ですから、これをベクトルで表すと右下の図の緑色のベクトルになります。


S-H の結合モーメント(青色のベクトル)を求めればよいので、下の図のように書き換えてから三角比を使って計算します。



以上より、正解は




2020年4月22日水曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問14の解説

<問14>
アルキンの付加反応とマルコフニコフの法則に関する出題で、大学で学習する内容です。

はじめに高校で学習するアセチレンの付加反応についての解説をします。
硫酸水銀(Ⅱ) を触媒としてアセチレンに水を付加させると、ビニルアルコールが生成します。ところが、生成したビニルアルコールは非常に不安定な物質なので、直ちに異性化してアセトアルデヒドになります。


この反応はアセトアルデヒドの工業的製法でしたが、触媒として使用する硫酸水銀(Ⅱ)が大きな公害問題を引き起こしたため、現在ではヘキスト・ワッカ-法という別の方法に変わりました。

ですから、設問にある「硫酸と硫酸水銀(Ⅱ)を触媒としたエチニルベンゼンの水和反応」とは、三重結合部分への水が付加反応することです。

三重結合の部分には多くの電子が帯電しているので、それを目当てに H2O 由来のH+ が求電子攻撃をしかけます。

ここで問題です。
H+ は「ベンゼン環と結合した炭素」と「水素と結合した炭素」のどちらに攻撃するでしょうか?

二重結合または三重結合をもつ炭化水素に対してハロゲン化水素や水が付加するとき、結合している水素原子が多い炭素のほうに H+ が付加します。この経験則をマルコフニコフの法則と呼びます。
左側の炭素は水素原子と直接結合しているわけではないので、H+ は右側の「水素と結合した炭素」に結合します。


H+ が右側の炭素と結合すると左側の炭素は+に帯電するので、これに OH- が結合します。


生成した物質に注目してください。
二重結合している炭素に直接結合している -OH のことをエノール性ヒドロキシ基といい、非常に不安定です。
そのため、-OH は直ちに異性化してカルボニル基になります。


正解は


2020年4月21日火曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問13の解説

<問13>
高校レベルの知識で対応可能な設問です。

1,3-ブタジエンは高校化学で学習する有機化合物であり、その構造式は次のようになっています。


しかし、実際は π 電子の一部がC2 と C3 の間にも流れています。



このため、付加反応や重合反応は C1 と C2 、C3 と C3 だけでなく、むしろ C1 と C4 でよく起こります。


こうして生成した1,4-付加の重合体がブタジエンゴム(合成ゴム)です。
ですから、1,3-ブタジエンは(ア)となるので、選択肢の, 4, 5 は誤りです。



アセチルサリチル酸も高校化学で学習する有機化合物です。そして解熱鎮痛剤としても有名ですから、(エ)となります。したがって、選択肢の以外は全て誤りです。

正解は


2020年4月19日日曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問12の解説

<問12>
第69回の問13にも出題されたグリニャール試薬に関する出題です。


グリニャール試薬は、金属マグネシウムにハロゲン化アルキルを作用させることで生成します。
したがって、正解は


グリニャール試薬についての詳しい解説はリンク先のページを参照ください。



環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 2019.12 問11

令和元年(12月)第70回

酸化数の計算と錯体についての知識を問う問題。
どちらも高校で学習する内容だけど、(イ)の金属カルボニル錯体の存在が設問の難易度を上げているように思えてしまう。
しかし、出題者の意図は金属カルボニル錯体についての知識を問うのではなく、高校で学習した基礎知識をベースとした思考力を試しているようだ。

酸化の計算は化学反応のとき起こる電子の流れを把握する上で非常に有用であるが故に必修項目。下に挙げたルールに従い、習得するまで問題演習を繰返して欲しい。

①単体の原子の酸化数を0とする。
②単原子イオンの酸化数は、イオンの価数に等しい。
③分子を構成する原子の酸化数の和は 0 になる。
④多原子イオンを構成する原子の酸化数の和はイオンの価数に等しい。
⑤ハロゲン原子の酸化数は -1
⑥アルカリ金属の酸化数は +1
⑦酸素の酸化数は基本的に -2(H2O2 では -1)
⑧自分より電気陰性度の大きい元素と結合した H 原子の酸化数は +1
⑨自分より電気陰性度の小さい元素と結合した H 原子の酸化数は -1

設問を解いていこう。

(ア)
『ルール④:多原子イオンを構成する原子の酸化数の和はイオンの価数に等しい。』より、次の式が成立する。

クロム1個 × クロムの酸化数 + 酸素4個 × 酸素の酸化数 = -2

『ルール⑦:酸素の酸化数は基本的に -2(H2O2 では -1)』より、酸素の酸化数 =-2を上の式に代入する。

クロムの酸化数 + 4×(-2) = -2
これを解くと、クロムの酸化数 = +6


(ウ)
ニッケル1個 × ニッケルの酸化数 + 臭素4個 × 臭素の酸化数 = -2

『ルール⑤:ハロゲン原子の酸化数は -1』より、臭素の酸化数=-1を上の式に代入する。

ニッケルの酸化数 + 4× (-1) = -2
ニッケルの酸化数 = +2

(エ)
銅1個 × 銅の酸化数 + シアン3個 × シアンの酸化数 = -2

シアン化物イオン( CN- )は高校化学で登場する代表的な配位子。その酸化数は-1。

銅の酸化数 +3× (-1) = -2
銅の酸化数 = +1


以上より、酸化数の大きい順番に(ア)>(ウ)>(エ)となる。この順序に反したは誤り。


(イ)
金属カルボニル錯体について考える前に、金属錯体の基本を確認しよう。
金属錯体とは、分子の中心に金属イオンが存在し、それを取り囲むように配位子と呼ばれる非共有電子対を持つ陰イオンや電気的に中性の分子が配位結合したイオン化合物のことだ。
たとえば(ア)(ウ)(エ)で登場した O, Br, CN は、どれも非共有電子対を持つ陰イオンの配位子だった。

ところで、非共有電子対を持つ中性分子の配位子には、どんなものがあるのだろうか?

高校化学で登場する代表的な中性分子の配位子に H2O とNH3 がある。
錯体としては [Ag(NH3)2]+ や [Cu(H2O)4]2+2 が有名だ。
H2O と NH3 の酸化数はもちろん0だから、このときの Ag と Cu の酸化数は『ルール④:多原子イオンを構成する原子の酸化数の和はイオンの価数に等しくなる』から、それぞれ +1と+2なる。

ここまでの話をまとめると配位子には非共有電子対を持つ陰イオンと電気的に中性な分子の2種類があるのだけれど、配位子としての CO はどちらだろうか?

化学を勉強していれば CO がイオンではないことは分かるだろう。
イオンでないなら CO は電気的に中性な分子であり、その酸化数は H2O や NH3 と同じ0だ。

『ルール④:多原子イオンを構成する原子の酸化数の和はイオンの価数に等しくなる』から、Fe の酸化数は-2だと分かる。
したがって、酸化数の大きい順番に(ア)>(ウ)>(エ)>(イ)となるから、正解は

2020年3月14日土曜日

第69回環境計量士国家試験(環濃)問4の解説

問4(第69 環濃)
イオンクロマトグラフで最も一般的に用いられる電気伝導検出器についての出題です。基礎的な内容ですから、試験本番では確実に押さえておきたい設問ですね。

検出器と交通量調査
突然ですけど、交通量調査ってご存知ですか?
歩道に座って、道路を見つめながら、カチカチといくつものボタンを押しているアレです。
交通量調査はある地点を通過する車両を、その種類ごとにカウントしています。

実は検出器も交通量調査に似ているところがあると思います。
どのあたりが似ているかというと、通過する何か(元素だったり、イオンだったり)をカウントするところです。ただし、何が通過したのか?は分類できないものがほとんどです。

電気伝導検出器も同じで、通過するイオンをカウントすることができます。しかし、通過したイオンがどんなイオンだったのかは分別できません。
ですから、選択肢の「電気伝導検出器を用いる場合には、陽イオンを分析することができない。」という記述は誤りだと分かるはずです。なぜなら、電気伝導検出器にできることはイオンをカウントすることですから、陽イオン陰イオン関係なくカウントできます。

正解は

2020年2月24日月曜日

第69回環境計量士国家試験(環濃)問2の解説

問2(第69回 環濃)
強酸の pH を計算して求める設問ですが、計算の過程が複雑で時間をかなり割かなくてはなりません。試験本番では後回しするべき問題ですが、試験対策として勉強するのであれば、重要ポイントをいくつか含んだ良問だと思います。

塩酸の pH を求めてみる!
例えば、濃度 1.0×10-3 mol/ℓ の塩酸は強酸なので、次のように完全に電離しています。


ですから、[H+] = [Cl-] = 1.0×10-3 mol/ℓ となります。
pH は次のように定義されていますから、この塩酸の pH は 3.0 です。

[H+] =10 mol/ℓのとき、pH=α


では、濃度 1.0×10-9 mol/ℓ の塩酸の場合、その pH は 9.0 なのでしょうか?

そんなはずありませんね。pH 9.0 はアルカリ性です。
塩酸をどんなに希釈してもアルカリ性には決してなりません!ただの水に近づくだけですから、その pH は水の pH より大きくなることはありません。


水の pH を求めてみる!
ところで、水の pH が 7.0 であることは周知の事実ですが、その pH を計算して求めてみたことはありますか?
ここが理解できていないと先には進めません。

水は塩酸と異なり、わずかに次のように電離しています。


ですから、H+ の濃度と OH- の濃度は同じです。( [H+] = [OH-] )
また、[H+] と [OH-] の積を 水のイオン積(Kwといい、その濃度は分かっています。

25℃のとき、
水のイオン積の濃度は 1.0 × 10-14 (mol/ℓ)2

[H+][OH-] = 1.0 × 10-14 (mol/ℓ)2 に、 [H+] = [OH-] を代入すると、

[H+]2 = 1.0 × 10-14 (mol/ℓ)2

[H+] = 1.0 × 10-7 (mol/ℓ)

したがって、pH は 7.0 となります。


さて、本題です。濃度 1.0×10-7 mol/ℓ の塩酸の pH を求めてみましょう!
上で解説したとおり、水はわずかに電離しています。
塩酸の濃度が高い場合、塩酸由来の H+ が水溶液中に多く存在するので、水の電離はあまり進まず、結果として水の電離については無視できます。

ところが塩酸の濃度が極端に低い場合、塩酸由来の H+ が水溶液中にほとんど存在しないので、水の電離は進みます。結果として水の電離については無視できなくなるのです。

というわけで、この濃度の薄い塩酸の中には次の3つのイオンが存在します。

H+  OH-  Cl-

そして、この3つのイオンの濃度の関係は次のようになります。


一番下の数式から二次方程式が作れそうです。


正解は3


参考文献
亀田和久『大学入試 亀田和久の理論化学が面白いほどわかる本』(138~142)

関連ページ
外部サイト:極端に希薄な強酸水溶液のpH(受験の月)