ブラッグの法則に関する問題です。高校化学の学習範囲外ですが、高校物理では学習する内容のようです。
結晶に当てたX線は、問題文にある図のように表面に近い複数の原子面で反射します。直線の矢印で描かれているX線ですが、X線は電磁波の仲間ですから波があり、ある特定の角度からX線を照射するとその波が強くなる現象が観測できます。
この現象には面間隔が「d」, 入射角が「θ」のとき、「2dsinθ」が波長「λ」の整数倍であれば反射した2本の波が強め合うという法則があり、これをブラッグの法則と言います。
ちょっと図にしてみましょうか。
赤色の破線が面間隔「d」です。
緑色の破線は1番目の格子面で反射するX線と2番目の格子面で反射するX線の波面ですから、2本の平行光線と垂直の関係にあります。
青色の線は下の図より三角比で求めた「dsinθ」の2個分です。
ブラッグの式( 2dsinθ = nλ )を使うことで、一定波長のX線を当てたときの回折パターンから面間隔「d」を求め、結晶構造を知る手がかりになります。
さて、選択肢を見ていきます。
1.おそらくX線以外の電磁波でも回折は生じると思いますが、確定ではありませんから正誤判定は保留にしておきます。
2.『角度「θ」の方向』という条件に限れば、波長λのX線のみが観測されるはずですから、正しい記述内容でしょう。
3.フラッグの式より、波長「λ」を定数、角度「θ」を変数とすると、面間隔「d」は変数です。そして『構造が異なる=面間隔「d」が異なる』と考えられますから、回折角「θ」の違いにより結晶構造の違いは区別できます。したがって、正しい記述内容です。
4.図で考えてみましょう。
広がった面間隔を「d‘」とします。
波長「λ」は定数ですから「dsinθ」変化しません。すると、角度「θ‘」は角度「θ」よりも小さくなりました。したがって、この記述内容は誤りになります。
正解は4