2020年5月5日火曜日

令和元年 環境計量士国家試験(環濃)問6の解説


問6(第70 環濃)
PCB(JIS K0093)からの出題は2年連続です。
昨年は『5. ガスクロマトグラフ法』の原文をそのまま載せたかたちでの出題でしたが、今年は『6. ガスクロマトグラフ質量分析法』の原文をそのまま載せたかたちでの出題です。

(ア)
私は有機分析については素人なのでこのあたりのことはよく分かりませんが、PCB の分析におけるクリーンアップはシリカゲルを用いたカラムクロマト分離を行うのが一般的なようです。
しかし、規格の備考にはシリカゲルの代わりに活性けい酸マグネシウムを使用してもよいと記載されています。

したがって、下線部に誤りはありません。
選択肢はに絞られます。


(イ)
PCB をガスクロマトグラフ法で定量する場合、その検出器はハロゲンに対してのみ反応する電子捕獲検出器(ECD)を使用しますから、下線部の内容は誤りとなります。

したがって、残った選択肢はのみです。
正解は


(ウ)
四重極型のガスクロマトグラフ質量分析には、全イオン検出法(TIM、スキャンモード)と選択イオン検出法(SIM)があります。どちらの検出法を用いるかは分析の目的によります。

マススペクトルを利用して試料成分を同定する時には、スキャンモードを利用します。一方、SIMモードではマススペクトルは得られませんが、スキャンモードよりも高感度なので微量分析の定量に向いています。
スキャンモードでピークの成分同定を行い、その化合物に特定の質量電荷比(m/z)を持つイオンを決定し、それからそのイオンをSIM分析で定量するのが一般的な分析の流れとなります。