2020年4月13日月曜日

第69回(2018.12)化学分析概論及び濃度の計算 問25

📁第69回(平成30年12月)

「JIS B 7954大気中の浮遊粒子状物質自動計測器」に規定されている自動計測器は4つありますが、そのうちの1つが光散乱方式の自動計測器です。


光散乱方式の原理

大気中の浮遊粒子状物質(SPM)に光を照射すると、光が四方八方に散乱します。よく劇場などで見るサーチライトの光の筋が良い例です。
この散乱する光は、粒子状物質の質量濃度に比例して光量が強くなりますから、サーチライトの光の筋がはっきりと見える劇場ほど、劇場内の埃などが多いと言えるでしょう。

実際の光散乱方式計測器は、次のような仕組みになっています。

①吸引ポンプ又はファンを用いて一定流量の大気を装置内に吸引します。
②レーザーダイオードやタングステンランプなどを光源とした光を、吸引した大気中の浮遊粒子状物質に照射します。
③散乱した光を光センサによって検出し、電気信号に変換します。


注意点
この方法はフィルターに集めた粒子を天秤で直接重量測定するわけではなく、粒子に当てて散乱した光を計測しているに過ぎません。ですから、直接重量測定する標準測定法との比較試験(校正)が必要となります。

このように、なんらかの標準と比較することで成り立つ定量方法のことをを相対濃度測定法といいます。これに対して、フィルターに集めた粒子を天秤で直接重量測定する定量方法のことを絶対濃度測定法といいます。


また、光散乱方式はベータ線吸収方式と異なり、分粒装置を必要としません。光散乱方式では粒径10μm以上は散乱光が極めて小さいためです。


さて、設問を見ていきましょう。
(ア)「吸収」と「散乱」どっちが空欄に入るでしょうか?
粒子に当たった光が散乱するのですから「散乱」が入ります。選択肢のは誤り。

(イ)散乱した光の量から粒子の質量濃度を直接測定しているのではなく、相対的に測定しています。ですから、空欄には「相対」が入ります。選択肢のは誤り。

(ウ)粒子に当てる光は、レーザーダイオードやタングステンランプなどを光源としています。ですから、空欄には「光源」が入ります。選択肢のは誤り。

正解は