2019年11月23日土曜日

添加回収試験とは?添加量の計算方法を初心者向けに解説!


「試料にヒ素を1ppm添加して、添加回収試験しなさい!」って指示されたけど…
標準液を何mL添加すればいいのかな?
計算方法が分からないよ…

こんなことで悩んでない?
……ま、最初は分からなくても仕方ないんじゃない?
分析を始めたばかりの人なら、このあたりで引っかかることは結構あるんだから。

この記事では、添加回収試験の基本的な考え方から、実際の添加量の計算方法までを解説していく。
難しい数式を並べるだけじゃなくて、できるだけイメージしやすいように説明するつもり。

ちゃんと付いてきなさい!

添加回収試験とは?

添加回収試験って聞くと難しそうに感じるかもしれないけど、要するに「この分析方法、本当に正しい値が出せているの?」を確認する試験なの。

確認する内容は主に次の2つよ。

・前処理中、目的の成分が失われていないか?

・機器分析中、試料中の他の成分(マトリックス成分)が測定の妨害をしていないか?

せっかく分析しても、途中で目的成分が減っていたり、他の成分の影響で値がズレていたりしたら意味がないでしょ?

だから、既知量の成分をあらかじめ試料に加えておいて、どれくらい正しく回収できるかを確認するの。



添加回収試験の流れ

それじゃあ、実際の添加回収試験をイメージしてみましょう。
たとえば、ある試料にどれくらい「ヒ素」が含まれているのか調べたいとき、試料を次の2つのグループに分けて考えるの。

グループA(添加なし):
何も加えず、そのまま前処理をして測定する。

グループB(添加あり):
濃度が既知のヒ素を加えてから、前処理をして測定する。

最後に、この2つの測定結果を比較。

グループB(添加あり)の測定値から、グループA(添加なし)の測定値を引いた差が、最初に加えたヒ素の量と一致していれば、

・「前処理でヒ素はほとんど失われていない」
・「他の成分による妨害もほとんどない」

と考えることができるわけ。



回収率

添加した量に対して、実際に検出できた割合を「回収率」と呼ぶの。
これが100%に近いほど、正確な分析ができていると判断できるってわけ。

計算式は次のとおりよ。


回収率 (%) = ( 添加試料の測定値-無添加試料の測定値 ) 添加量 × 100


分析の現場では、この回収率を確認することで「この分析法は本当に正しい結果を出しているのか?」を評価しているのよ。

さて、理屈が分かったところで次は実践ね。
以下に、実際の現場を想定した練習問題を用意したから。

最初は時間がかかっても大丈夫。
一つひとつの単位と数字を確認しながら、納得できるまで丁寧に計算してみなさい!


問題1 -固体試料への添加量(μg)を求める-
ある試料2gにヒ素を1ppm添加したいとき、ヒ素の添加量(μg)を求めなさい。

<解説>

添加量は次の式で求めるの。

添加量(μg)= 試料量(g)× 添加濃度(ppm)

…とはいえ、この式だけ見てもピンとこないよね。
まずは「ヒ素1ppm」がどれくらいの量なのか、考えてみましょう。

「ppm」に慣れていないなら、まずは「%」に置き換えて考えると分かりやすい。たとえば…

「この試料1gには1%のヒ素が含まれている」

と言われたら、

「この試料1gには 0.01g のヒ素が含まれている」

と変換できるでしょ?

「%」は百分率だから、1g × 1/100 = 0.01g となるわけ。

同じように「ppm」で考えてみる…

「この試料1gには1ppm のヒ素が含まれている」

と言われたら、

ppm = 10-6 だから、1g × 10-6 = 0.000001g となるの。

つまり、「この試料1gには 0.000001g のヒ素が含まれている」という意味ね。

でも、「0」が多すぎて見づらいじゃない?
だから、単位を変えて…

0.000001g = 0.001mg = 1μg

つまり、

「試料1gには1μgのヒ素が含まれている」

ということなの。ここまで来れば、あとは簡単~♪

添加量(μg)= 2(g) × 1(ppm) = 2(μg)

答えは2μg

1ppm = 1μ/g
1000 ppm = 1mg/g
この2つは現場で良く使うから、覚えておきなさい!

問題2 -溶液1mlあたりの絶対量(μg)を求める-
市販の濃度 1000ppmのヒ素標準溶液を希釈して、濃度1ppmのヒ素標準溶液を調製した。
この溶液1mlあたりのヒ素の絶対量(μg)を求めなさい。

<解説>

この問題、実は問題1が理解できていれば難しくないの。

まず、標準溶液はほとんど水みたいなものだから、比重を1とみなして、

1mL ≒ 1g

として考える。すると、この問題は、

「この溶液1g あたりのヒ素の絶対量(μg)を求めなさい。」

と言い換えられるの。
さて、問題1で覚えたことを思い出してみなさい。

1ppm ≒ 1μg/g

つまり、濃度1ppmのヒ素標準溶液には、

「溶液1gあたりヒ素が1μg 含まれている。」

ということになるわけ。
さらに、1mL = 1g として扱えるんだから、

「溶液1mLあたりヒ素が1μg 含まれている。」

とも言えるわけ。答えは1μg

この問題の狙いは、
1ppm 標準溶液の1mL添加は1μg添加と同義
これを読者に刷り込むことにある。
濃度計算で何度も使うから、覚えておきなさい!

問題3 -液体試料への添加量(mL)を求める-
工場排水が100mLある。
これにヒ素を 0.05mg/L 添加したいとき、ヒ素の添加量(mL)を求めなさい。
なお、ヒ素は濃度1ppm の標準溶液から添加するものとする。

<解説>

添加量の求め方、覚えてる?……え?忘れた?
問題1でやったばかりなんだから、ちゃんと思い出しなさい!

添加量(μg)= 試料量(g)× 添加濃度(ppm)

今回は試料を「L」、添加量を「mg/L」にそろえて計算するから。
まず、試料量 100mL を「L」に換算すると、0.1L

だから

添加量(μg)= 0.1(L)× 0.05 (mg/L) = 0.005 (mg)

さらに単位変換すると、0.005mg = 5μg
だから、ヒ素を5μg 添加すればよいわけ。

ここまでは大丈夫?

じゃあ次は、

「ヒ素を5μg 添加するには、1ppm 標準溶液を何 mL加えればいいの?」

という問題ね。
問題2を思い出してみなさい。

濃度1ppm のヒ素標準溶液1mLには、ヒ素が1μg 含まれていたの。

だから、

濃度1ppm のヒ素標準溶液5mLには、ヒ素が5μg 含まれるの。

したがって、5mL 添加すればOK. 答えは5mL