光散乱方式
JIS B 7954には4つの測定原理(付属書を入れると5つ)が記載されていて、そのうちの1つである光散乱方式について、つぎのように記載されています。
光散乱方式とは、粒子による散乱光量からの相対濃度としての指示値を得るもの。
順番に説明していきましょう。
大気中に浮遊している粒子に光があたると、光はさまざまな方向に散乱します。木々の隙間から差し込む光のスジはこの現象によるものです。
この散乱光にはいくつかの特徴があります。
・粒子の質量濃度に比例してその光量が変化する。
・粒子の大きさ、屈折率、入射光の波長、散乱角度などによって散乱光は複雑に変化する。特にその光量は粒子が大きくなるほど強くなる。
つまり、再現性を得るには粒子の大きさや形状などが同一である必要があります。
相対濃度とは? ベータ線吸収方式の質量濃度とは何が異なるのか?
相対濃度について、規格の3.b) で次のように定義されています。
質量濃度及び一定の相対的関係にある物理量を測定して得られる値にある係数を乗じて質量濃度としたもの。
そもそも「光散乱方式」の計測器は、直接粉じんの質量を測定しているのではなく、それと比例している散乱光の光量を測定しています。そのため、直接重量法による標準測定法との比較試験(校正)を行って求めた係数(質量濃度変換係数)を散乱光量に乗じてμg/m3に置き換える必要があり、こうして求められた濃度を相対濃度とよびます。
光源は?
光源について、規格の5.2.3c に次のような記載があります。
光源は、レーザーダイオード、タングステンランプなどを使用する。
〔解説〕
(ア)粒子に当たった光が散乱するので、空欄には「散乱」が入ります。
(イ)「光散乱方式」では直接粒子の質量を測定しているのではなく、それと比例している散乱光の光量を測定しています。そのため、散乱光量に係数(質量濃度変換係数)を乗じて質量濃度としているので、相対濃度として指示値を得ていることになります。したがって、空欄には「相対」が入ります。
(ウ)粒子に当てる光は、レーザーダイオードやタングステンランプなどを光源としていますから、空欄には「光源」が入ります。
正解は5
〔解説〕
1.ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度を求める方法は、ベータ線吸収方式です。したがって、ここの記述は誤り。
2.光散乱方式は、粒子による散乱光量から相対濃度を求めますから、ここの記述も誤り。
3.粒子による散乱光量から相対濃度を求める方法は光散乱方式ですから、ここの記述は誤り。
4.後半部分がおかしいですね。ベータ線吸収方式では、ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度を求めます。「捕集前後のろ紙の吸光量、反射量」は関係ないので、ここの記述は誤りです。
以上より、消去法で正解は5