2024年12月29日日曜日

環境計量士と浮遊粒子状物質自動計測器(3)

JIS B 7954 に記載されている4つの測定原理のうちの1つ、光散乱方式 についてまとめてみました。

JIS B 7954 の 5.2.3 では「光散乱方式」について

粒子による散乱光量からの相対濃度としての指示値を得るもの。

と記載されていますが、よくわかりません。

そもそも「粒子による散乱光」って何?
まずはそれから学んでいきましょう!

大気中に浮遊している粒子に光が接触すると、粒子が光を散乱させます。光が散乱すると上の図のような現象(木々の隙間から差し込む光のスジ)が観測されます。これは散乱現象の1つであるミー散乱によるチンダル現象らしいのですが、そんな細かな知識は環境計量士には必要ありません。大切なことは、この散乱光の光量が粒子のサイズや形状、密度(濃度)に依存するということです。

① 粒子の密度(濃度)による影響

粒子の質量濃度が濃くなると、濃度に比例してその光量は強くなります。

※しかし、濃度が高すぎると光が粒子間で何度も散乱されて本来の光路から外れてしまい、検出器に届く光が減少してしまうことがあります。また、高濃度の粒子によって光が遮られてしまうこともあるため、測定に適した濃度を予め把握しておくとよいですね。


② 粒子のサイズによる影響

粒子のサイズが大きくなるほど、散乱光の光量は強くなります。


③ 粒子の形状による影響

光が粒子に当たった際に、粒子の形状が光の反射・屈折・回折・吸収・散乱の仕方を変化させてしまいます。


次は相対濃度です。
相対濃度はベータ線吸収方式の質量濃度と何が異なるのかな?

規格の3.b) では「相対濃度」について

質量濃度及び一定の相対的関係にある物理量を測定して得られる値にある係数を乗じて質量濃度としたもの。

と記載されています。
つまり、相対濃度=質量濃度、但し 質量濃度=質量濃度×ある係数 ということでしょうか…?

そもそも「光散乱方式」の計測器は、直接粉じんの質量を測定しているのではなく、それと比例関係にある散乱光の光量を測定しています。そのため、直接粉じんの質量を測定する直接重量法と、散乱光の光量を測定する方法、両者の比較を行い、そこで求めた係数(質量濃度変換係数)を散乱光量に乗じて μg/mに置き換える必要があります。
このように、なんらかの標準と比較することを前提とした定量方法のことを相対濃度測定法とよびます。


最後に、光散乱方式の計測器の仕組みを学びましょう!

① サンプリング

吸引ポンプ又はファンを用いて、一定流量の大気を装置内に吸引する。


② 散乱光の発生

吸引した大気中の浮遊粒子状物質にレーザーダイオードやタングステンランプなどを光源とした光を照射し、散乱光を発生させる。


③ 散乱光の検出

測定器内の光センサ(光検出器)が散乱光を検出し、その強度を電気信号に変換する。

 

以上で「光散乱方式」についてのまとめ解説は終了です。あとは演習するのみ!

 

第69回(2018.12)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

(ア)粒子に当たった光が散乱するので、空欄には「散乱」が入ります。

(イ)「光散乱方式」では直接粒子の質量を測定しているのではなく、それと比例している散乱光の光量を測定しています。そのため、散乱光量に係数(質量濃度変換係数)を乗じて質量濃度としているので、相対濃度として指示値を得ていることになります。したがって、空欄には「相対」が入ります。

(ウ)粒子に当てる光は、レーザーダイオードやタングステンランプなどを光源としていますから、空欄には「光源」が入ります。

正解は5


第66回(2016.3)
ここの設問は(2)で学習した「ベータ線吸収方式」と、ここで学習した「光散乱方式」の知識があれば対処可能です。


クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

1.ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度を求める方法は、ベータ線吸収方式です。したがって、ここの記述は誤り。

2.光散乱方式は、粒子による散乱光量から相対濃度を求めますから、ここの記述も誤り。

3.粒子による散乱光量から相対濃度を求める方法は光散乱方式ですから、ここの記述は誤り。

4.後半部分がおかしいですね。ベータ線吸収方式では、ろ紙上に捕集した粒子によるベータ線の吸収量の増加から質量濃度を求めます。「捕集前後のろ紙の吸光量、反射量」は関係ないので、ここの記述は誤りです。

以上より、消去法で正解は5