2023年7月19日水曜日

第73回(2022.12)環境計量に関する基礎知識(化学)問15

📁第73回(令和4年12月)

高校化学で学習する反応速度式についての出題ですね。
本問のように、A + B → C という反応において、A と B の初期濃度を変えて C の生成速度を測定し、下の式を用いることで C の反応速度式を求めることが可能です。

V = k [A]x [B]y

※ k は反応速度定数。これは速度式の比例係数を意味し、反応の種類ごとに異なります。
※ x と y は化学反応式から得られるものではなく、実際に実験を通して経験的に適切な値が決まります。したがって、これらは化学反応式における係数(化学量論係数)と一致しない場合があります。

ところが、我々が知りたいのは反応速度式ではなく化学反応式です。反応速度式から化学反応式を求めることが可能なのでしょうか?

実は「素反応(そはんのう)」の場合、次数 x と y は化学反応式における係数と一致することがあります。
ですから、C の反応速度式を求めることから始めてみましょう。


はじめに実験(ア)と(イ)に注目してください。

[A] が 0.10 で一定のとき、[B] が 0.10 から2倍の 0.20 になると C の生成速度が 0.001 から2倍の 0.002 になることが表から読み取れます。つまり、C の生成速度は [B] の1乗に比例します。

次に実験(イ)と(ウ)から [B] が 0.20 で一定のとき、[A] が 0.10 から2倍の 0.20 になると、C の生成速度が 0.002 から8倍(23 倍)の 0.016 になることが表から読み取れます。つまり、C の生成速度は [A] の3乗に比例します。

以上より反応速度式は V = k [A]3 [B]1


素反応であることから、次数 x と y が化学反応式における係数と一致すると仮定すると、その化学反応式は 3A + B → C になります。

正解は