2021年9月5日日曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環濃) 第71回(令和2年)問18

📁第71回(令和2年)

アンモニア性窒素の分析法をネタにした計算問題。この分析法は、アンモニアを一定量の硫酸に吸収させ、過剰の硫酸をアルカリで中和滴定することで窒素を定量する分析法だ。まあ、この分析法を知らなくても問題に解答することは可能だけど、知っていたほうが問題の主旨を理解しやすい。逆にこの分析法を知っていても高校化学の基礎があやふやな人には解答できない。

さっそく問題を解いていこう。
はじめに、アンモニアを硫酸に吸収させる化学反応式を書く。

2NH3 + H2SO4 → (NH4)2SO4

次に、2NH3, H2SO4, (NH4)2SO4 の物質量を記入する。アンモニアの物質量を Xmol とし、硫酸の物質量は 0.10×200/1000 より 0.02mol となる。


続いて、過剰の硫酸と水酸化ナトリウムの化学反応式を書き、中和滴定の公式から硫酸の物質量を求める。

2NaOH+H2SO4 → Na2SO4+2H2O

中和滴定の公式 zcv = z’c’v’ より
1×0.10×(300/1000) = 2×c’×v’ ⇐ 左辺をNaOH、右辺をH2SO4とした

よくある間違いとして、硫酸の体積(v’)を 200/1000 としてしまいがちだ。しかし、アンモニアを吸収した硫酸の体積は200ml 以上になるので、実際の体積は分からない。

c’v’=物質量 だから
1×0.10×(300/1000) = 2×(0.02-X)

これを解くと
X=0.005 mol

アンモニアの物質量が 2Xmol だから 2×0.005 より 0.01mol となり、アンモニア 1mol のときの体積が22.4L だから 0.01mol のときの体積は 22.4×0.01 より 0.224L となる。

したがって、正解は2