超頻出の「JIS K0115 吸光光度分析通則」から『8.4.1検量線法』と『8.4.2標準添加法』に関する出題です。
吸光光度分析に限らず、機器測定を日常的に行っている現場の分析屋さんにとっては基礎的な内容の設問。
1.
検量線法は、はじめに検量線用標準液の吸光度の測定を行って、吸光度と分析種の濃度との関係式によって表された検量線を作成します。
次に未知試料の測定を行って、得られた吸光度から試料に含まれている分析種の濃度を関係式(検量線)から算出します。
したがって、記述内容に誤りはありません。
2.
標準添加法は、はじめに未知試料を4個以上の容器にそれぞれ等量に分取し、そのうちの1つを除いた容器にそれぞれ濃度が段階的に異なるように既知濃度の標準物質を添加します。
次にこれら全てを測定し、吸光度と添加濃度との関係式(検量線)を作成します。
したがって、記述内容に誤りはありません。
3.
検量線法を用いる場合、未知試料に含まれる成分による分析対象物質の吸光度の減少や増加がないことが前提となっていますが、実際はこのような前提が成立しないことがあり、検量線法では正確な値が得られないことがあります。
このような場合、標準添加法を用います。なぜなら、標準添加法は検量線用標準液に等しく未知試料が加えられているので、その検量線は含有成分による影響が織り込み済みだからです。
つまり、標準添加法が用いられる理由は、検量線が曲線となっているからではありません。検量線が曲線となる場合には、再現性が高いことが確認できた場合だけ、ロジスティック(logistic)曲線、ロジット(logit-log)変換などの回帰モデルを使用し、検量線を作成することができるとJIS K0115に規定されています。
したがって、これが誤り。
5.
実際の分析現場には、試料が懸濁していてもお構いなしに分析を強行する猛者が居たりしますが、試料による吸光度に加え、散乱による光の減衰が観測されるため、定量を行うことはできません!
したがって、記述内容に誤りはありません。
正解は3