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2020年5月7日木曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環濃) 2019.12 問9

令和元年(12月)第70回 問9の解説

問9は毎年必ず原子吸光分析法から出題されます。しかも、バックグラウンドについて問われることが最も多いのですが、自己反転補正法について出題されたのは私の知る限りはじめてです。

とりあえず、バックグラウンドについて簡単にまとめておきます。


原子吸光分析法におけるバックグラウンドとは?

ホロカソードランプから放たれた光は目的元素によって吸光されるだけでなく、共存元素に吸光されたり、共存する粒子によって散乱したりもします。その結果、検出器に到達できる光は減ってしまい、見かけ上の吸光度が大きくなってしまいます。

このように目的元素以外の原因による減光をバックグラウンドと呼び、その対策として次の3つの方法でバックグラウンドを補正します。


  1. 重水素ランプ(D2)補正法
  2. 偏光ゼーマン補正法
  3. 自己反転補正法(自己吸収補正法)

自己反転補正法とは中空陰極ランプ(ホロカソードランプ)に、過剰電流で点灯した際に現れる自己吸収現象を利用した方法です。自己吸収現象が現れたとき、目的元素による原子吸光は無視できるほど小さいので、このときの吸光度はバックグラウンドによるものとなります。

通常時の吸光度:目的元素による吸光 + バックグラウンドによる吸光
自己吸収現象時の吸光度:バックグラウンドによる吸光

したがって、通常時の吸光度 - 自己吸収現象時の吸光 = 目的元素の吸光度 となります。

正解は


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