2020年5月26日火曜日

令和元年 環境計量士国家試験(環濃)問23の解説

問23(第70回 環濃)

それなりの出題頻度を誇るガスクロマトグラフ質量分析計についての設問です。

電子イオン化法はガスクロマトグラフ質量分析でもっともよく使用されるイオン化法で、イメージとしては試料に電子をぶつけることでイオン化します。

もう少し具体的に話しますと、フィラメントという細い線に電流を流して熱電子を放出し、それを気体試料に衝突させます。かなり高いエネルギー(通常70eV)を持った熱電子を試料に衝突させるので、ぶつけられた試料のほうも無事で済むはずありません。

最初に分子の電子を1個たたき出し、分子を壊すことなく化合物分子をイオン化しますが、一般には分子間の弱い結合部分が切れて断片化(フラグメンテーション)が起こり、イオン(フラグメントイオン)が生成します。

そして、同じ実験条件なら決まったパターンで断片化が起こるため、標準試料のスペクトルと突き合わせることで分析種の同定が可能となります。


さて、選択肢を見てみましょう。
1.試料にぶつける熱電子は「フィラメント」から放出されますから、電子イオン化法のイオン源の構成要素として間違いありません。

3.「誘導コイル」に高周波の電流を通すと誘導電場が発生し、石英トーチ内のアルゴンガス(Ar)が電離して 、5,000~10,000Kという高温のプラズマ状態になります。たしかに、このプラズマもイオン源に間違いありませんが、電子イオン化法のイオン源ではありません。ICP質量分析装置のイオン源ですから、これが間違いです。

正解は

その他の選択肢の内容は、よく知りません。