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2020年4月12日日曜日

第69回環境計量士国家試験(環濃)問22の解説

<問22>
水素化物発生法によるヒ素の分析法に関する出題です。

この手の問題の対策としては、まず分析操作の全体像を把握します。次にそれぞれの操作の意味・理由を理解します。とはいっても、実務経験者に有利なことは間違いありません。

この分析方法は次の4つのステップに分けることができます。
①硫酸と硝酸による試料中の有機物の分解と、ヒ素(Ⅲ)をヒ素(Ⅴ)に酸化する。
②分解終了後、硝酸を追い出す。
③ヒ素(Ⅴ)をヒ素(Ⅲ)へ還元する。
④水素化ヒ素を発生させる。


ヒ素を損失しないように有機物を分解するには、ヒ素を常に5価の状態に保つ必要があります。それを視覚的に確認する意味で、過マンガン酸カリウム溶液を加えます。


硝酸は水素化ヒ素の発生を妨害するので、硫酸白煙を発生させて硝酸をしっかり追い出します。


ヨウ化カリウム溶液を加えて、ヒ素(Ⅴ)をヒ素(Ⅲ)へ還元します。
2I- + As+5 → I2 + As+3

生成したヨウ素は酸化剤ですから、これをアスコルビン酸で還元しておきます。


ここからは、連続式水素化物発生装置を使って反応を進めます。
塩酸酸性にした試料溶液にテトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液を混ぜて水素化ヒ素を発生させ、アルゴンガスをキャリヤーとしてこれを分析装置に導入して測定します。

ヒ素(Ⅲ)は、テトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液から発生する水素(H2 → 2H+ + 2e-)によって金属ヒ素に還元され、さらに還元が進んで水素化ヒ素が生ずると考えられています。
H3AsO3 + 3H+ + 3e- → As + 3H2O
As + 3H+ + 3e- → AsH3


さて、問題文を丁寧に見てみますが...おかしなところはないですね。
したがって、正解は