ガンガンガン!
人気のない実験室に響く何かを叩きつける音。
「何の音だろう?」
わたしは音のする方へゆっくりと足を運ぶ。
広い大実験室の一番奥の実験台に、前かがみになった人影が見える。
「誰かな?」
もう少し近づいてみる。
ずんぐりむっくりとした体型...
「あれは中年正社員だ!何をしているんだろう?」
柱の陰から身を乗り出し、彼の手元を見た。
彼の手にはマイクロピペットが握りしめられており、それをチップが納められたラックに叩きつけていたのだった。
「ついに狂ったか!(いや元から...)」
彼はチップラックをガンガン叩いて、ピペットにチップを装着しているのだった。
この異常ともいえる行動は、実は彼だけではない。同じようにして、チップをピペットに装着する輩は多い。
そこで、マイクロピペットへのチップの正しい装着方法を調べてみることにした。
マイクロピペットへのチップの正しい装着方法とは?
私の手元にある4社のマイクロピペットの取扱説明書には『チップラックを叩いてチップ装着する』などという旨を記載している取扱説明書は皆無でした。
また、エッペンドルフ社の公式Twitterには次のようなツイートがあります。
「ピペッティングのコツその8!ピペットにチップを付けるとき、ガンガン叩いたり、ねじ込んだりしていませんか?実験室では見慣れた光景ですが、実はピペットの先端を傷める原因になります。その結果、精度が狂うだけでなく、リークが起こることも。チップを付けるときは適度な力でつけましょう。」
どうやら、ラックを叩いてチップを装着する行為はピペットに悪影響を及ぼすらしいです。(当然ですよね...)
では、取扱説明書に記載されているチップ装着方法を紹介しましょう。
A社:少し力を込めて、チップを装着してください。
B社:ピペットの容量範囲が適切なチップをご使用ください。チップが正確に装着されていることをご確認ください。
C社:装着は、チップラックからの装着をおすすめします。チップをひねるような脱着は行わないでください。
D社:気密性と安定性を確保するために、少しひねるようにしてしっかりと固定させてください。
B社:ピペットの容量範囲が適切なチップをご使用ください。チップが正確に装着されていることをご確認ください。
C社:装着は、チップラックからの装着をおすすめします。チップをひねるような脱着は行わないでください。
D社:気密性と安定性を確保するために、少しひねるようにしてしっかりと固定させてください。
メーカーによって多少の違いはありますが、自分が使用するマイクロピペットの取扱説明書を確認して、正しい操作方法を身に付けてください。
そして、マイクロピペットは精密機器ですから、大切に扱いましょう!
※この話はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
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