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2026年9月6日日曜日

環境計量士と酸素自動計測器(3)|ジルコニア方式

この記事では「酸素自動計測器(JIS B 7983)」のうち、酸素の電気化学的な性質を利用するもの(電気化学式)について、試験で問われやすいポイントを分かりやすく解説していく。

電気化学式の計測器は、酸素の電気化学的酸化還元反応を利用して,酸素濃度を連続的に求めるもので次の方式があるの。

  • ジルコニア方式
  • 電極方式

試験で主に出題されるのはジルコニア方式のほう。
だから、この記事ではジルコニア方式を中心に解説していく。


ジルコニア方式とは?

はじめに、JISの記述の確認ね。

この方式は,高温に加熱されたジルコニア素子の両端に電極を設け,その一方に試料ガス,他方に空気を流して酸素濃度差を与えて両極間に生じる起電力を検出する
...まあ、いきなりこれを読んで「なるほど!」となる人は、そう多くないでしょうね。
だから、もう少しかみ砕いて説明するわ。

ジルコニウムの酸化物であるジルコニアは、酸化イットリウムなどを添加して安定化すると、高温で酸素イオン(O2-)だけを通す(電導する)固体電解質になるの。

そして、ジルコニア素子の両端に電極を設け、一方に試料ガス、もう一方に空気を流す。 すると、両側の酸素濃度の違いによって電極間に起電力(電圧)が生じるのよ。

この起電力を測定して酸素濃度を求める。 これがジルコニア方式。



ジルコニア方式の特徴

ジルコニア方式では、ジルコニア素子を高温に加熱して使用するの。
だから、高温の試料ガスを測定できるという特徴がある。

一方で、注意しなければならないのが一酸化炭素(CO)や水素(H₂)などの未燃焼ガスによる干渉ね。
これらの未燃焼ガスを多く含む試料では、実際よりも低い酸素濃度を示すことがあるの。

なぜかって?

未燃焼ガスが白金電極表面で酸化される際に、酸素が消費されるからよ。
つまり、本来測定したい酸素が途中で使われてしまうから、測定値は実際より低く出てしまうってわけ。

だから、未燃焼ガスの影響を無視できる場合、または影響を除去できる場合に、ジルコニア方式は適用できるってJISに記載されているの。


ここまで説明したんだから、次の過去問くらい解けるわよね?
ほら、実力を試してみなさい!
⭐ 過去問演習(第63回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1.ジルコニア方式では、ジルコニア素子を高温に加熱して使用する。
2.電気化学式は、酸素の電気化学的な酸化還元反応を利用し、酸素濃度を測定する方式である。
3.ジルコニア方式は、未燃焼の炭化水素を多量に含む燃焼排ガスの測定に適している。
4.計測器を設置するときは、振動の少ない場所を選ぶ。
5.ダンベル形の計測器では、磁界中で酸素分子が受ける磁化の強さを測定することで、酸素濃度を求める。
解説

選択肢1から順番にみていく。
ジルコニア素子は、高温に加熱することで酸素イオン(O²⁻)を通す固体電解質として働くようになるの。だから、この記述は正しいわ。

選択肢2
これは、JIS B 7983の「4.2 電気化学式」に記載されている内容ね。 JISにそのまま書かれているんだから、この記述は正しいわよ。

選択肢3
ジルコニア方式では、未燃焼ガスを多く含む試料を測定すると、実際の酸素濃度よりも低い値を示すことがある。
さっき解説したでしょ?覚えてる?
だから、この記述は誤り

【解答】3


⭐ 過去問演習(第61回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述に該当する方式を、1~5の中から一つ選びなさい。

「高温に加熱した固体電解質を用いて酸素濃淡電池を構成し、比較ガスと試料ガスとの酸素濃度の違いによって生じる起電力を検出する方式である。」

1.ジルコニア方式
2.磁気力方式(ダンベル型)
3.磁気力方式(圧力検出型)
4.電極方式(定電位電解形)
5.磁気風方式
解説

まず、問題文のキーワードを確認ね。
今回のポイントは、

「高温に加熱した固体電解質」
「酸素濃淡電池」
「酸素濃度の差によって生じる起電力」

この3つね。

「高温に加熱した固体電解質」は、ジルコニア素子のこと。
だから、ジルコニア方式が正解。

【解答】1


⭐ 過去問演習(第59回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選びなさい。

1.磁気式濃度計では、一酸化窒素を高濃度で含む被測定ガスを、そのまま導入して測定することができる。
2.ジルコニア方式濃度計に高濃度の可燃性ガスを含む被測定ガスを直接導入すると、実際の酸素濃度よりも低い測定値を示す。
3.ジルコニア方式と磁気風方式では、干渉影響試験に同一組成の試験用ガスを使用することができる。
4.磁気力方式では、熱線素子を用いて試料気流の速度変化を検出し、その変化から酸素濃度を測定する。
5.電極方式の濃度計では、高濃度の二酸化炭素を含む被測定ガスを直接導入して測定することができる。
解説

選択肢1から順番にみていく。
一酸化窒素(NO)は、酸素と同じく常磁性をもつ。
そのため、磁気式濃度計ではNOの影響を受け、酸素濃度を実際よりも高く示す「正の干渉」が生じることがあるの。
だから、磁気式濃度計を使用できる条件は、一酸化窒素の影響を無視できる場合のみよ。 つまり、1は誤りね。

選択肢2
ジルコニア方式では、未燃焼ガスを多く含む試料を測定すると、実際の酸素濃度よりも低い値を示すことがある。
さっき解説したでしょ?覚えてる?
だから、この記述は正しいの。

【解答】2


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環境計量士と酸素自動計測器(2)|磁気風方式

磁気風方式とは?

JISには、磁気風方式の計測器について次のように記載されている。

磁界内で吸引された酸素分子の一部が加熱されて,磁性を失うことによって生じる磁気風の強さを熱線素子によって検出する。
まあ、この一文だけで磁気風方式の仕組みをイメージするのは無理かな。
これから図を使って、酸素分子がどう動いて、どうやって磁気風が発生するのかを順番に解説するから。
この図は、磁気風方式の簡単な見取り図よ。

サンプルガスは装置の内部で左右に分かれて流れるの。
左側が測定セル、右側が比較セルね。

左側の測定セルには(永久)磁石が設置されていて磁界がかかっている。
一方、右側の比較セルには磁界がかかっていない。

ここに、酸素を含む測定ガスを流してみる。
すると、どうなると思う?

そう。常磁性をもつ酸素分子が磁石に引き寄せられるのよ。
そのため、酸素分子は右側の比較セルよりも、磁界のある左側の測定セルに集まりやすくなるの。
左側の測定セルに酸素ガスが集まっているのは、このためよ。


2020年5月10日日曜日

令和元年 環境計量士国家試験(環濃)問11の解説

問11(第70回 環濃)
「JIS B 7983 排ガス中の酸素自動計測器」は、ほぼ毎回出題される超頻出テーマです。
このテーマについては過去の出題内容を踏まえ、別のページで試験に出る要点をまとめてあります。


(解説)
1 解説ページにも書いてありますが、磁気式の計測器には、磁気風方式と磁気力方式があります。したがって、この記述に誤りはありません。

 解説ページに書いてないのでパスします。

 磁気方式は一酸化窒素の影響を受け、ジルコニア方式は未燃焼ガスの影響を受けます。これは大切なポイントです。
そのため、干渉成分の影響について試験を行う際の試験用ガスは、磁気方式には一酸化窒素が含まれたガスを、ジルコニア方式には一酸化炭素(未燃焼ガス)が含まれたガスを試験用ガスとして用います。

したがって、この記述は誤りです。

 解説ページに書いてありますが、ジルコニア方式は、酸素の電気化学的酸化還元反応を利用する電気化学式の一方式です。したがって、この記述に誤りはありません。


正解は



環境計量士と酸素自動計測器(1)|酸素の常磁性


酸素自動計測器(JIS B 7983)は、環境計量士試験で何度も出題される重要なテーマ。
試験で押さえておくべきポイントに絞って分かりやすく解説していくから。
ついでに、問題演習にもチャレンジしなさい!

この記事で取り上げるのは、酸素の常磁性を利用して測定する「磁気式」の計測器。
試験で押さえておくべきポイントは次の2つよ。

  • 酸素の常磁性とは?
  • 磁気風方式とは?

はじめに、JISの記述の確認ね。

磁気式の計測器は、常磁性体である酸素分子が磁界内で,磁化された際に生じる吸引力を利用して酸素濃度を連続的に測定する装置。

この文章はかなり重要よ。
そのまま試験問題に登場することだってあるんだから。

……とはいっても、これだけ読んでも「結局、どうやって酸素濃度を測ってるの?」ってなるでしょ。

だからまずは、「酸素の常磁性とは何なのか?」からはじめる。


酸素の常磁性とは?

さて、ここからが本題。
まずは、酸素の不思議な性質が一目でわかる動画を見なさい。


どう?
酸素でふくらませたシャボン玉が、ネオジム磁石に引き寄せられたでしょ。

酸素は強い磁場の中におくと、磁石に引き寄せられる性質を示す。この性質を常磁性というの。

そして、この酸素の常磁性を利用して酸素濃度を測定するのが、磁気式の酸素自動計測器よ。

さて、酸素の常磁性を利用した計測器には、2つの方式がある。

  • 磁気風方式
  • 磁気力方式(ダンベル型と圧力検出型)

環境計量士試験で主に出題されるのは磁気風方式。だから、次の記事では磁気風方式を中心に説明していく。

ここで問題演習!
ほら、理解度を試してみなさい!
⭐ 過去問演習(第64回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち誤っているものを一つ選びなさい。

1.ジルコニア方式では、高温に加熱した固体電解質を用いて、比較ガスと試料ガスの酸素濃度の差を検出する。
2.磁気式の計測器は、酸素が関与する電気化学的な酸化還元反応を利用して酸素濃度を測定する。
3.電極方式の計測器は、電気化学式に分類される。
4.磁気力方式には、ダンベル形と圧力検出形の2種類がある。
5.ジルコニア方式の干渉影響試験では、一酸化炭素と酸素を含む試験用ガスを使用する。

解説

まずは選択肢1から見ていく。
ジルコニア方式については、まだ説明してないから、ここはいったんパス。

次は選択肢2。
これは磁気式の計測器について書かれている。よく見ると、

「酸素の電気化学的な酸化還元反応を利用している」

と書いてある。
ここが間違い。

磁気式の計測器が利用しているのは、酸素の常磁性。
酸素が磁界に引き寄せられる性質を利用して、酸素濃度を測定しているの。

したがって、選択肢2が誤り。
……ここまでの記事をちゃんと読んでいたなら、これはサービス問題ね。

【解答】2


酸素以外のガスに常磁性はないの?

そう思った人、いいところに気づいたわね。

実は、酸素以外のガスがすべて常磁性を示さない、というわけじゃないの。
ただし、一般的なガスは、ごくわずかな反磁性(磁石から反発する性質)を示す。

そして、少し注意が必要なのが一酸化窒素(NO)。
一酸化窒素も常磁性を示すのだけれど、その強さは酸素ほど大きくない。

「じゃあ、酸素の測定には影響しないの?」

残念ながら、そう簡単にはいかないの。
一酸化窒素の常磁性によって、酸素濃度を実際より高く示す正の干渉が生じる可能性がある。
だから、JISには

この方式は、体積磁化率の大きいガス(一酸化窒素)の影響を無視できる場合に適用できる。

と記載されているの。

🌿 まとめ
  • 酸素には常磁性がある。
  • 磁気式は、酸素の常磁性を利用した自動計測器。
  • 磁気式には、磁気風方式と磁気力方式がある。
  • 一酸化窒素も常磁性を示す。しかし、その強さは酸素ほど大きくない。

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