2026年9月6日日曜日

環境計量士と酸素自動計測器(2)|磁気風方式

磁気風方式とは?

JISには、磁気風方式の計測器について次のように記載されている。

磁界内で吸引された酸素分子の一部が加熱されて,磁性を失うことによって生じる磁気風の強さを熱線素子によって検出する。
まあ、この一文だけで磁気風方式の仕組みをイメージするのは無理かな。
これから図を使って、酸素分子がどう動いて、どうやって磁気風が発生するのかを順番に解説するから。
この図は、磁気風方式の簡単な見取り図よ。

サンプルガスは装置の内部で左右に分かれて流れるの。
左側が測定セル、右側が比較セルね。

左側の測定セルには(永久)磁石が設置されていて磁界がかかっている。
一方、右側の比較セルには磁界がかかっていない。

ここに、酸素を含む測定ガスを流してみる。
すると、どうなると思う?

そう。常磁性をもつ酸素分子が磁石に引き寄せられるのよ。
そのため、酸素分子は右側の比較セルよりも、磁界のある左側の測定セルに集まりやすくなるの。
左側の測定セルに酸素ガスが集まっているのは、このためよ。


しばらくすると、測定セルの磁界付近では酸素が局所的に多い状態になる。
ここで、いよいよ検出器である熱線素子の出番。

熱線素子を加熱すると、その周辺の酸素も加熱されるの。
すると、酸素は加熱によって常磁性が弱くなり、磁石に引き寄せられる力が小さくなる。

その結果、下から流入する冷たい酸素によって押し上げられて、連続したガスの流れ(磁気風)が発生するの。

この磁気風の強さは、測定ガス中の酸素濃度が高いほど大きくなる。
だから、その風の強さを熱線素子で検出すれば、測定ガス中の酸素濃度を知ることができるわけ。

……どう?
最初に見せたJISの、

磁界内で吸引された酸素分子の一部が加熱されて,磁性を失うことによって生じる磁気風の強さを熱線素子によって検出する。

という文章が、少し分かりやすくなったでしょう。

  1. 酸素が磁石に引き寄せられる
  2. 酸素が集まる
  3. 熱線素子で加熱する
  4. 酸素の常磁性が弱くなる
  5. 磁気風が発生する
  6. その強さを検出する

これが磁気風方式の基本的な仕組みよ。


ここまで説明したんだから、次の過去問くらい解けるわよね?
ほら、実力を試してみなさい!
⭐ 過去問演習(第76回, 問題文を一部編集・再構成)

問11 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち誤っているものを一つ選びなさい。

1.磁気風分析計では、磁極を利用して、測定セルと比較セルの両方に同じ強さの磁界を作用させる。
2.ダンベル形磁気力分析計では、ダンベルと試料ガス中の酸素との磁化の強さの違いによって生じる、ダンベルの変位を検出する。
3.ジルコニア分析計では、電気炉によって検出器を高温に保つ。
4.分析計のゼロ点およびスパンについて、一定の間隔で自動的に校正できる自動校正器を取り付けてもよい。
5.ジルコニア方式は、高温条件で酸素と反応する可燃性ガスの影響を無視できる場合、またはその影響を取り除くことができる場合に適用できる。
解説

選択肢1から順番にみていく。

図で説明したように、磁界がかかっているのは測定セルのみ。
比較セルには磁界はかかっていない。

したがって、「測定セルと比較セルの両方に同じ強さの磁界を作用させる」としている選択肢1が誤り。

【解答】1

⭐ 過去問演習(第69回, 問題文を一部編集・再構成)

問11 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に規定されている計測器について、次の記述のうち誤っているものを一つ選びなさい。

1.磁気式の計測器は、常磁性をもつ酸素分子が高温によって磁化されたときに生じる吸引力を利用して、酸素濃度を測定する装置である。
2.ジルコニア方式では、高温に加熱したジルコニア素子の両端に電極を設け、一方に試料ガス、もう一方に空気を流すことで酸素濃度差を生じさせ、その結果として発生する起電力を検出する。
3.除湿器は、試料ガスまたは反応用ガスに含まれる水分を、凝縮などの方法によって取り除くための装置である。
4.試料採取部では、試料ガス中に含まれるダストを除去する目的でフィルタが使用される。
5.可搬形の計測器では、ゼロドリフト試験において、4時間当たりの最大偏差が各測定段階(レンジ)について定められた範囲内であることが求められる。
解説

選択肢1から順番にみていく。

常磁性をもつ酸素分子は、高温になると常磁性が弱まり、磁石に引き寄せられる力も小さくなるの。
ところが、この選択肢では「高温によって磁化された際に生じる吸引力を利用する」としている。これは逆よ。

したがって、選択肢1が誤り。

【解答】1

⭐ 過去問演習(第65回, 問題文を一部編集・再構成)

問19 JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」に規定されているガス濃度計測器のうち、磁界内に引き寄せられた酸素分子の一部を加熱し、常磁性が弱まることで生じる現象を熱線素子で検出する方式はどれか。次の中から正しいものを一つ選びなさい。

1.磁気風方式
2.磁気力方式(ダンベル形)
3.ジルコニア方式
4.電極方式(定電位電解形)
5.磁気力方式(圧力検出形)
解説

この記事で説明したとおり、磁気風方式では、磁界に引き寄せられた酸素分子を加熱することで生じる磁気風を熱線素子で検出する。
したがって、正解は1よ。

【解答】1

...ほら、簡単だったでしょ?
ここまでちゃんと読んでいれば、迷うところじゃないわ。


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