2020年4月28日火曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問23の解説

問23(第70回 環化)

はじめに、選択肢の物質を水に溶ける物質と水に溶けない物質に分けてみます。

気体は水に溶けて塩基性を示すとき、その気体を塩基性気体とよびます。酸性を示すときは酸性気体、水に溶けない気体は中性気体とよびます。
いくつか、具体例を挙げます。

塩基性気体:NH3
酸性気体:Cl2, HCl, SO2, NO2, CO2, H2S
中性気体:H2, N2, O2, CO, NO
(これらはもちろん高校で学習する内容です。)


ところで、『似たものどうしは良く溶け合い、似ていないものどうしは溶けない』という話を聞いたことはありますか?

これは、溶質と溶媒の関係をうまく表現しています。すなわち、極性分子は極性溶媒に良く溶け、無極性溶媒にはあまり溶けないことを意味します。

水はとても極性の強い物質ですから、同じような極性の強い物質を溶かします。選択肢の中で、極性のある物質は 1-ブタノールと D-グルコースです。四塩化炭素は無極性分子ですから、水には溶けません。

アルコールは炭化水素基(疎水基)とヒドロキシ基(親水基)から構成されています。ヒドロキシ基は、水分子と水素結合して水に溶け込もうとしますが、炭化水素基は、水に溶解しないようにはたらきます。したがって、炭素数の大きいアルコール(炭素数が4以上)では炭化水素基の作用が強くなり,水に溶けにくくなります。

糖には多くのヒドロキシ基(-OH)をもっていますから、水に良く溶けます。


以上より、
:水に不溶
:水にそこそこ可溶
:水に不溶
:水に可溶
:水に可溶


つぎは水に溶けたあとのことを考えます。
「高い電気伝導率を示す」ということなので、なんらかの電解質である必要があります。電解質は水などの溶媒に溶かすと陽イオンと陰イオンに分かれ、溶媒中をイオンが自由に動き回るので電気が通じます。

さて、二酸化窒素とD-グルコースが水に溶けると何か起きるのでしょうか?

二酸化窒素が水に溶けると硝酸ができます。その硝酸は H+ と NO3- に電離しますから、その水溶液は高い電気伝導率を示します。

3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
HNO3 → H+ + NO3-

一方、D-グルコースは水に溶けただけで電離しませんから、その水溶液が電気伝導率を示すことはありません。


正解は