はじめに、選択肢1~5の物質を水に溶ける物質と水に溶けない物質に分けてみます。
気体は水に溶けて塩基性を示すとき、その気体を塩基性気体とよびます。酸性を示すときは酸性気体、水に溶けない気体は中性気体とよびます。
いくつか、具体例を挙げます。
塩基性気体:NH3
酸性気体:Cl2, HCl, SO2, NO2, CO2, H2S
中性気体:H2, N2, O2, CO, NO
(これらはもちろん高校で学習する内容です。)酸性気体:Cl2, HCl, SO2, NO2, CO2, H2S
中性気体:H2, N2, O2, CO, NO
ところで、『似たものどうしは良く溶け合い、似ていないものどうしは溶けない』という話を聞いたことはありますか?
これは、溶質と溶媒の関係をうまく表現しています。すなわち、極性分子は極性溶媒に良く溶け、無極性溶媒にはあまり溶けないことを意味します。
水はとても極性の強い物質ですから、同じような極性の強い物質を溶かします。選択肢の中で、極性のある物質は 1-ブタノールと D-グルコースです。四塩化炭素は無極性分子ですから、水には溶けません。
アルコールは炭化水素基(疎水基)とヒドロキシ基(親水基)から構成されています。ヒドロキシ基は、水分子と水素結合して水に溶け込もうとしますが、炭化水素基は、水に溶解しないようにはたらきます。したがって、炭素数の大きいアルコール(炭素数が4以上)では炭化水素基の作用が強くなり,水に溶けにくくなります。
糖には多くのヒドロキシ基(-OH)をもっていますから、水に良く溶けます。
以上より、
1:水に不溶
2:水にそこそこ可溶
3:水に不溶
4:水に可溶
5:水に可溶
つぎは水に溶けたあとのことを考えます。
「高い電気伝導率を示す」ということなので、なんらかの電解質である必要があります。電解質は水などの溶媒に溶かすと陽イオンと陰イオンに分かれ、溶媒中をイオンが自由に動き回るので電気が通じます。
さて、二酸化窒素とD-グルコースが水に溶けると何か起きるのでしょうか?
二酸化窒素が水に溶けると硝酸ができます。その硝酸は H+ と NO3- に電離しますから、その水溶液は高い電気伝導率を示します。
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
HNO3 → H+ + NO3-
一方、D-グルコースは水に溶けただけで電離しませんから、その水溶液が電気伝導率を示すことはありません。
正解は4