ラベル JIS K0121 原子吸光分析通則 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル JIS K0121 原子吸光分析通則 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年8月31日日曜日

環境計量士と原子吸光分析法(3)

ここでは環境計量士(濃度)の試験対策として、原子吸光分析のバックグラウンド補正を扱います。

図のような駅のホームをイメージしてください。

この列車は、「光源(中空陰極ランプ)」を出発し、「検出器」まで向かいます。乗客は原子とバックグラウンド(BKG)ですが、ホームに乗客がいませんので、列車の乗客数は0の状態で終点の「検出器」に到着します。この状態が「吸光度0」です。

次の図では、ホーム上の乗客のうち、乗車口(原子が吸収する波長)に並んだ乗客が列車に乗り込み、乗車口に並ばない乗客は列車に乗れません。したがって、列車の乗客は原子と一部のBKGとなり、終点の「検出器」に到着します。

このように、中空陰極ランプを光源とする場合、原子蒸気による(特定波長の)吸収とBKG吸収が測定されてしまうため、測定対象物質の正確な吸光度を測定するためには、BKG吸収の影響を取り除く必要があります。

※ちなみにバックグラウンドとは、目的とする元素の原子蒸気以外を原因とする光の減光現象のことです。原子蒸気以外の減光現象の原因となるものとしては、その他の分子、粒子、ミスト、ラジカル、マトリックス由来の成分(未原子化成分や溶媒残留物)などが挙げられます。

・BKG吸収のみを測定する方法 (1)

連続スペクトルを発生する光源を使用してBKG吸収のみを測定する。

「光源(連続スペクトル光源)」を出発し、「検出器」まで向かう列車は「トロッコ列車」です。ホームの端から端までの長さ(スリット幅)があり、ホーム上の乗客の全員が乗り込もうとしますから、乗客のほとんどがBKGになります。

このように、連続スペクトルを発生する光源では原子蒸気による吸収はほとんど認められません。

※連続スペクトルを発生する光源として、重水素ランプ(D2ランプ)やタングステンランプが使用されます。重水素ランプは紫外部(180nm~350nm)、タングステンランプは350nm~800nmの範囲で強い連続スペクトルを発光します。

・BKG吸収のみを測定する方法 (2)

「ゼーマン効果」を利用してBKG吸収のみを測定する。

原子蒸気に強い磁場をかけると、その原子蒸気が吸収できる光の波長(吸収線)が分裂して位置が少しズレる現象を「ゼーマン効果」といいます。

駅のホームで例えるならば、磁場によって乗車位置が左右に分裂します。しかし、列車の停止位置(光源からの光の波長)は変化しませんから、乗車位置に並ぶ乗客(原子)は列車に乗れません。つまり、磁場があるとBKGの吸収のみが検出器に届きます。

※磁場は永久磁石もしくは交流磁石を用います。

・BKG吸収のみを測定する方法 (3)

中空陰極ランプに高電流を流してBKG吸収のみを測定する。

中空陰極ランプに高電流を流すと、ランプ内部で励起された原子が増加し、この増加した原子が共鳴線を強く自己吸収するようになり、原子吸光が起こる中心付近の光が弱く、その周囲が強い、中心部が凹んで周囲がやや広がったスペクトルが現れます。この状態では、バックグラウンド吸収のみが測定可能です。

駅のホームで例えるなら、ドアの位置が異なる列車が到着したと考えます。ホームの乗車位置と列車の乗車口の位置が異なるので、並んでいた乗客(原子)は列車に乗車できません。


【過去問演習】

第72回(2021年12月)

クリックすると拡大するよ

〔解説〕

1.誤り。規格5.7.1に「連続スペクトル光源補正方式は連続スペクトルを発生する光源(例えば、重水素ランプ、タングステンランプなど)をバックグラウンド補正に用いる方式である。 ~中略~ 補正用光源としては、180〜350 nmの範囲に分析線をもつ元素に対しては重水素ランプが、また、350〜800 nmの範囲の元素に対しては、タングステンランプが最もよく用いられる。」とあります。
つまり、光源の種類を使い分けることによって分析線の範囲は180~800nmの範囲で対応可能です。

2.誤り。この記述は、規格5.4.1にあるダブルビーム方式の説明ですから、バックグラウンド補正ではなく、光の強度のドリフト補正の話になります。

3.正しい。規格5.7.2に「磁場によってゼーマン分裂したスペクトル線をバックグラウンド補正に用いる方式である。」とあります。

4.誤り。わたしが使用している装置はゼーマン補正のダブルビーム方式です。(いまどきシングルビーム方式を採用している装置なんてあるのか?)

5.誤り。常に高電流を流したら、バックグラウンド吸収しか測定されません。規格の3.lに「自己反転補正方式は中空陰極ランプに通常の電流と高電流とを交互に流し、高電流による放電で生じる自己反転したスペクトル線をバックグラウンド補正に用いる光学系の一方式。」とあります。


第70回(2019年12月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

規格の3.1 に「自己反転補正方式は中空陰極ランプに通常の電流と高電流とを交互に流し、高電流による放電で生じる自己反転したスペクトル線をバックグラウンド補正に用いる光学系の一方式。」とありますから、(ア)には「中空陰極ランプ」、(イ)には「高電流」が入ります。これを満たす選択肢は1のみ。

正解は1


第68回(2018年3月)

クリックすると拡大するよ

〔解説〕

問題文には「試料のミスト及び個体粒子によって散乱されることにより、見かけの吸光度が大きくなる」とあります。

そういえば、バックグラウンドの定義は「目的とする元素の原子蒸気以外を原因とする光の減光現象」のことでしたから、バックグラウンドの対策を取ればよいのです。

バックグラウンドの対策は、①連続スペクトル光源補正方式、②ゼーマン分裂補正方式、③自己反転補正方式の3つでしたので、正解は4になります。


第61回(2011年3月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

1.バックグラウンドの定義そのものですから、この記述内容は正しいです。

2.非共鳴近接線方式は実務において必要のない知識ですので、保留。

3.連続スペクトルを発生する光源として、重水素ランプとタングステンランプは覚えなくてはなりませんが、キセノンランプはマニアックですね。取り扱っているメーカーはアナリティクイエナしか思い浮かばない。正しい記述内容ですが、わからなくてもOK

4.自己反転補正方式の定義そのものですから、この記述内容は正しいです。

5.ゼーマン方式は原子蒸気に磁場をかけるのであって、電場をかけるのではありません。

正解は5

2025年5月9日金曜日

環境計量士と原子吸光分析法(2)

ここでは環境計量士試験対策として、電気加熱原子吸光分析冷蒸気原子吸光分析を扱う。


「電気加熱原子吸光分析」とは?

電気的に加熱制御できる炉の中に、試料溶液を入れ 乾燥→灰化→原子化して原子吸光分析する方法のことを電気加熱原子吸光分析という。

この方法の特徴の1つは高感度であること。フレーム原子吸光分析法やICP発光分析法よりも検出下限が低く、ICP-MSに匹敵するほどの低濃度の測定が可能。

その一方で、元素や試料の種類によって乾燥・灰化・原子化温度が異なり、誤った温度設定及び時間設定をしてしまうと、目的元素の揮発や試料溶液の突沸が起きてしまうといったデメリットもある。


電気加熱炉

電気加熱炉は “ちくわ” の形をした黒鉛製の発熱体(グラファイトチューブ)が一般的で、これに電流を流して加熱する。

※「JIS K 0121 原子吸光分析通則(以下、規格)」には「発熱体は黒鉛製又は耐熱金属製とする」と書いてあるが、実際のところ黒鉛製以外の発熱体は市販されていない。しかし、試験では「耐熱金属製(タングステ, モリブデン)」がたびたび出題されるから要注意だ!

図のように、ちくわ(発熱体)の上部にある小さな穴からマイクロピペットを使用してサンプル(試料溶液)を注入する。

ちくわ(発熱体)に電流を流して、ちくわ内部の試料溶液を乾燥→灰化→原子化する。

内部で原子化された元素は、ランプからの光が通る軸方向に滞留するため、光路中の原子濃度が高くなり、感度が上昇する。

ちくわ(発熱体)内部の酸化防止、測定後の試料蒸気の排出のため、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスをちくわ(発熱体)内部に流す。


「冷蒸気原子吸光分析」とは?

試料溶液を還元気化、または加熱気化して得られた水銀の原子蒸気を原子吸光分析する方法のことを冷蒸気原子吸光分析といい、水銀専用原子吸光分析装置は、この方法で分析を行う。

還元気化は、試料溶液に還元剤を加えて溶液中の水銀イオンを金属水銀(ガス状)に還元し、水銀蒸気を発生させる。

加熱気化は、試料を加熱して気化した水銀を捕集管に捕集し、水銀をその他の測定に悪影響を与えるガスと分離する。分離後、捕集管を加熱して水銀を気化させる。この方法を「加熱気化ー金アマルガムー冷蒸気方式」とよぶ。


【過去問演習】


第75回(2024年12月)

クリックすると拡大するよ

〔解説〕

1.正しい記述。
規格〔5.3.2 電気加熱方式の原子化部〕には “発熱体は黒鉛製または耐熱金属製とする” と記載されている。

2.正しい記述。
規格〔3.定義 m 〕には “水銀専用原子吸光分析装置は試料中の水銀を還元気化又は加熱気化して発生する水銀蒸気を原子吸光分析する水銀専用の測定装置” と記載されている。

3.正しい記述。
規格の〔5.8 附属装置 d 〕には “水素化物発生装置は試料溶液中の分析対象成分を還元してきた以上の水素化合物とし、フレーム又は加熱吸収セルに導入する装置” と記載されている。

4.正しい記述。
規格の〔5.3.1 フレーム方式の原子化部 a 〕には “予混合バーナーに用いるフレームの種類は、アセチレン・空気、アセチレン・一酸化二窒素、水素・アルゴンなどとする” と記載されている。

5.誤った記述。
規格〔5.3.2 電気加熱方式の原子化部〕には “酸化防止、試料蒸気などの移送のため、アルゴン、窒素、アルゴン及び水素の混合ガスなどを炉の中に流す” と記載されている。

グラファイト炉は酸化によって劣化してしまう。そのため、アルゴンや窒素ガス窒素ガスなどの不活性ガスをチューブ内に一定方向に流す必要がある。

以上より正解は5


第67回(2017年3月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

(ウ)の還元気化原子吸光法は全水銀が分析対象成分なので、選択肢は1と3に絞られる。

そもそも原子吸光分析法は金属成分が分析対象。硫化物イオンは金属ではないから、選択肢の1と5は誤り。

以上より、正解は3


第65回(2015年3月)

クリックすると拡大するよ

〔解説〕

1.正しい記述。
イオン化干渉に関する知識が問われている。フレーム及び電気加熱炉中で原子がイオン化すると、基底状態の原子が減少する。原子吸光は基底状態の原子による吸光を測定する方法だから、基底状態の原子の減少は吸光度の低下を招く。

一般論として、アルカリ金属はイオン化ポテンシャル(イオン化エネルギー)が低く、陽イオンになりやすい。そして、温度が高いほど原子や分子の熱運動が活発になり、イオン化に必要なエネルギーが供給され、イオン化は促進される。

2.正しい記述。
アルミニウムは難分解性酸化物を生成するため、アセチレン-空気フレームでは感度が低く、定量は困難。したがって、JIS K 0102〔58.2 フレーム原子吸光法 注(5)〕に示すように、多燃料フレームにして還元性を強めたほうが高感度が得られるため、高温フレーム(アセチレンー一酸化二窒素フレーム)を適用する。

3.誤った記述。
還元剤により容易に還元気化できる元素はカルシウムではなく水銀。

4.正しい記述。
規格〔3. 定義 n〕には “加熱気化ー金アマルガムー冷蒸気方式は、試料中の水銀を加熱気化しして原子蒸気とし、水銀捕集管で濃縮後これを加熱し、得られた原子蒸気を原子吸光分析する方式” と記載されている。

5.正しい記述(高度に専門的な知識)。
分析化学便覧には “硫黄の主な共鳴線が180.7nmの真空紫外部にあるため、通常は陽イオンの測定による間接法が用いられる” と記載されている。

※原子吸光で測定可能な波長は、200nm~800nm。
※「陽イオンの測定による間接法」とは、試料中のS化合物を硫酸イオンとし、これに塩化Baを添加して硫酸Baを生成する。これを溶解、原子吸光法にてBaを測定し、間接的にSの濃度を求める方法。

以上より、正解は3


第63回(2013年3月)

クリックすると拡大するよ

〔解説〕

1.誤り。
「発熱体」と「乾燥過程の温度」は、電気加熱方式。

2.誤り。
「バーナーの種類」は、フレーム方式。

3.誤り。
「助燃ガス」は、フレーム方式。

4.「イオン化過程の時間」というものは存在しないはず...誤りだとは思うが保留。

5.「発熱体の材質」と「灰化過程の温度」は電気加熱方式。
「シースガス」が曲者。シース(sheath)とは(刃物の)鞘、(道具の)覆いといった意味で、原子吸光におけるシースガスとは、試料が原子化される際に炉内部で他のガスや酸素と混合するのを防ぎ、原子化された原子が拡散するのを防ぐ役割を担うらしい。いずれにせよ、電気加熱方式。

正解は5


第59回(2009年3月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

空欄の「ア」には、「原子化」が入るから、選択肢は2と3に絞られる。

空欄の「イ」には、「耐熱金属」が入る。「タングステン」と「アルミニウム」のうち耐熱金属はタングステン。

光学系の測光方式には、シングルビーム方式とダブルビーム方式があるから、空欄の「ウ」にはダブルビームが入る。「自己反転」はバックグラウンド補正方法の1つ。

以上より、正解は「イ」


2025年4月12日土曜日

環境計量士と原子吸光分析法(1)

ここでは環境計量士試験対策として「JIS K0121 原子吸光分析通則」に規定されている「5.3.1 フレーム方式の原子化部」を中心に扱う。


「フレーム」って何?

「フレーム」とは、試料を原子化するための高温の燃焼炎のことで、その温度は約2000~3000℃になる。フレームは燃料ガスと酸化剤の燃焼によって発生し、その中で試料が加熱されて溶媒の蒸発・分解・原子化が行われる。

左下の画像は純水を導入した際のフレームの様子で、右下の画像は試料溶液を導入した際のフレームの様子だ。溶液に含まれる元素の種類とその濃度によって、フレームの様子が大きく変化している。



「フレーム」の燃料は?

測定する元素に応じて異なる燃料ガスと酸化剤を使用するが、[アセチレン-空気]が最も一般的で、多くの金属元素に適用できる。また、アルミニウムやチタン、バナジウムなどの高融点の金属元素には[亜酸化窒素-アセチレン]が使用される。

※[亜酸化窒素-アセチレン]を使用する場合、火口部を小さくしガス噴出速度を大きくした専用のバーナーヘッドに交換する必要がある。これは混合ガスの燃焼速度が速いため、バックファイヤー(逆火:火炎がガス供給側へ戻る現象)を防ぐためだ。


試料溶液がフレームに導入されるまでの過程

吸引された液体試料は下の画像で示すネブライザー(霧化器)によって、微細な霧状になる。この霧は図の左にあるグレーの球体(ディスパーサー)に衝突し、より細かい粒子のみが燃料ガス・助燃ガスとともに(ミキシング)チャンバー内に進み、バーナーヘッドのスロットからフレームに送り込まれる。
このとき粗い液滴はドレンシステムによって除去される。



フレーム内で試料が原子化するまでの過程

霧化した試料がフレームに入ると高温によって溶媒が蒸発し、固体の微粒子(塩や酸化物)になり、熱分解を経て金属原子または酸化物として気化する。フレーム内の高温により酸化物などの化合物がさらに分解され、中性の金属原子になることで測定波長の光を吸収できるようになる。
また、フレーム中での原子密度は元素・フレームの状態などによって異なるから、測定を開始する前に光源ランプからの光束を最適な位置になるように、バーナーヘッドの位置調整を行う必要がある。


バーナー(ヘッド)とは?

ここまで紹介してきた、試料を原子化するために燃料ガスと酸化剤を燃焼させ、フレームを生成する一連の装置を「バーナー」とよぶ。バーナーには、霧化された試料溶液の全量をフレームに送り込む「全噴霧バーナー」と、細かい粒子だけをフレームに送り込むバーナーを「予混合バーナー」がある。



最後に、アセチレンガスの取り扱い方法に触れておこう。試験に出題するポイントを規格から抜粋した。

  • アセチレンの容器は、アセトンの流出防止のため必ず直立のまま貯蔵又は使用する。(10. a. 5)
  • アセチレン用配管には、鋼または銅含有率が62%以上の合金を使用しない。(10. a. 6)
  • アセチレンは0.1MPa以上の圧力(ゲージ圧)で使用しない。(10. b. 5)
  • 緊急時対策として、アセチレン使用中はアセチレン容器の開閉用ハンドルを取り付けたままにしておく。また、弁は1.5回転以上開かない。(10. b. 6)

アセチレンは不安定なガスで、圧縮や衝撃によって爆発する危険性があるため、アセトンなどの溶剤に溶かして容器に充填されている。 また、アセチレンが銅などの金属と反応すると、爆発性のアセチライドを生成する。

アセチレンは不安定な化合物であり、0.2MPa以上の圧力になると、酸素がなくても自発的に分解反応を起こす可能性があるため、比較的安全に取り扱える圧力が設定されている。


【過去問演習】

第73回(2022年12月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

2.試料溶液をチャンバー内に吹き込み、細かい粒子だけをフレームに送り込むバーナーが「予混合バーナー」だから、ここの記述は誤り。

以上より、正解は2


第71回(2020年12月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

1.予混合バーナーがフレーム方式の原子化部であることは事実。したがって、ここの記述に誤りはない。

ただ、「原子化部の1つとして」という記述があると「予混合バーナー以外にもあるの?」と疑問に思う人もいるだろう。一応、該当する規格を載せておく。

5.3.1 フレーム方式の原子化部

フレーム方式の原子化部は、バーナー及びガス流量制御部で構成する。

a) バーナーは、(中略)予混合バーナー及び全噴霧バーナーとする。

b) ガス流量制御部は、(中略)圧力調節弁、流量調節弁などで構成する。

 つまり、フレーム方式の原子化部はバーナーとガス流量制御部で構成されていて、バーナーには予混合バーナーと全噴霧バーナーがあるってこと。

4.フレーム中での原子密度は元素・フレームの状態などによって異なるから、測定を開始する前に光源ランプからの光束を最適の位置に設定する必要がある。したがって、ここの記述内容は誤り。

正解は4


第60回(2010年3月)

クリックすると拡大するよ

 〔解説〕

1.アセチレンは不安定な化合物であり、0.2MPa以上の圧力になると、酸素がなくても自発的に分解反応を起こす可能性がある。そのため、比較的安全に取り扱えるように「アセチレンは0.1MPa以上の圧力(ゲージ圧)で使用しない。」と規格の10. b. 5で設定されている。

したがって、ここの記述内容は誤りです。

正解は1

2022年8月27日土曜日

第72回(2021.12)化学分析概論及び濃度の計算 問9

📁第72回(令和3年12月)

問9は原子吸光分析法に関する設問が毎年出題されておりますが、ここ数年はバックグラウンドについての設問が続いています。(昨年は違いましたが...)


バックグラウンドとは?
ホロカソードランプから放たれた光は目的元素によって吸光されるだけでなく、共存元素に吸光されたり、共存する粒子によって散乱したりします。その結果、検出器に到達できる光は減ってしまい、見かけ上の吸光度が大きくなってしまいます。

こうした目的元素以外の原因による減光をバックグラウンドと呼び、その対策として次の3つの方法でバックグラウンドを補正します。

①連続スペクトル光源補正法
②偏光ゼーマン補正法
③自己反転補正法(自己吸収補正法)

①連続スペクトル光源補正法
上でも説明しましたが、ホロカソードランプから放たれた光は目的元素による吸光とバックグラウンドによる吸光の合計吸光度を測定します。
これに対して、補正用光源から放たれた連続光源はバックグラウンドによる吸光のみを測定しますから、この2つの差を取ることでバックグラウンド吸収の影響を除くことができます。
また、補正用光源としては180〜350 nmの範囲に分析線をもつ元素に対しては重水素ランプが、350〜800 nmの範囲の元素に対してはタングステンランプが最もよく用いられます。

②偏向ゼーマン補正法
原子蒸気に磁場を加えると原子蒸気の吸収スペクトルが分裂するとともに偏光特性を示しますが、バックグラウンドは磁場の影響は受けず、分裂や偏光特性は示しません。
磁場に平行な偏光特性を有する成分では、「目的元素による吸光とバックグラウンドによる吸光」が観測されますが、磁場に垂直な偏光特性を有する成分では、「バックグラウンドによる吸光」のみが観測されますから、この2つの差を取ることでバックグラウンド吸収の影響を除くことができます。

③自己反転補正法
ホロカソードランプに通常の電流と高電流とを交互に流し、高電流による放電で自己吸収現象を生じさせます。このとき、目的元素による原子吸光は無視できるほど小さいので、バックグラウンドによる吸光のみが観測されます。
つまり、通常の電流時は「目的元素による吸光とバックグラウンドによる吸光」が観測され、高電流時は「バックグラウンドによる吸光」のみが観測されますから。この2つの差を取ることでバックグラウンド吸収の影響を除くことができます。


さて、選択肢を見ていきます。

選択肢1
連続スペクトル光源補正方式は、波長350nm以下の分析線だけに使用できる。

180〜350 nmの範囲に分析線をもつ元素に対しては重水素ランプが、350〜800 nmの範囲の元素に対してはタングステンランプが補正用光源として用いられますから、この記述は誤りです。

選択肢2
バックグラウンド補正用光源から放射される光が原子化部を通過しないようにミラーなどを用いて迂回させて検出器に導く。

原子化部を迂回させたら、バックグラウンドによる吸光を測定できませんから、この記述は誤りです。ちなみに、原子化部を迂回させるのはダブルビーム方式の参照光です。

選択肢4
ゼーマン分裂補正方式はシングルビーム方式で使用できるが、ダブルビーム方式では使用できない。

嘘です。私が派遣先で使用している偏向ゼーマン補正法の原子吸光光度計はダブルビーム方式です。

選択肢5
自己反転方式は、ランプに常に高電流を流す方式である。

ランプに通常の電流と高電流とを交互に流す方式ですから、この記述は誤りです。

正解は3

2020年5月7日木曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環濃) 2019.12 問9

令和元年(12月)第70回 問9の解説

問9は毎年必ず原子吸光分析法から出題されます。しかも、バックグラウンドについて問われることが最も多いのですが、自己反転補正法について出題されたのは私の知る限りはじめてです。

とりあえず、バックグラウンドについて簡単にまとめておきます。


原子吸光分析法におけるバックグラウンドとは?

ホロカソードランプから放たれた光は目的元素によって吸光されるだけでなく、共存元素に吸光されたり、共存する粒子によって散乱したりもします。その結果、検出器に到達できる光は減ってしまい、見かけ上の吸光度が大きくなってしまいます。

このように目的元素以外の原因による減光をバックグラウンドと呼び、その対策として次の3つの方法でバックグラウンドを補正します。


  1. 重水素ランプ(D2)補正法
  2. 偏光ゼーマン補正法
  3. 自己反転補正法(自己吸収補正法)

自己反転補正法とは中空陰極ランプ(ホロカソードランプ)に、過剰電流で点灯した際に現れる自己吸収現象を利用した方法です。自己吸収現象が現れたとき、目的元素による原子吸光は無視できるほど小さいので、このときの吸光度はバックグラウンドによるものとなります。

通常時の吸光度:目的元素による吸光 + バックグラウンドによる吸光
自己吸収現象時の吸光度:バックグラウンドによる吸光

したがって、通常時の吸光度 - 自己吸収現象時の吸光 = 目的元素の吸光度 となります。

正解は


参考ページ