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2020年4月15日水曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 2019.12 問7

令和元年(12月)第70回

大学の入学試験に出題されるような問題です。高校化学の知識とそれを使いこなす力が試される良問です。

この設問は、次に挙げる内容が理解できていないと解答が難しく、解説も膨大な量となってしまうので、これらを理解していることを前提として進めます。不足分は高校生向けの参考書やリンク先のページで学習してください。

電離平衡、電離定数、電離定数を使ったpH計算、ブレンステッド・ローリーの定義、緩衝溶液(酢酸と酢酸ナトリウム)


(解説)
はじめに、酢酸水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を混合すると何が起こるのか?を考えます。そして、このときの反応前後の物質量の変化を見ます。


酢酸水溶液の物質量の変化だけに注目した場合、反応前の物質量は 0.10 (mol/L)× 75/1000 (L) より 0.0075 (mol) となります。
0.0075 (mol) のうちの 0.0025 (mol) が水酸化ナトリウムと反応してしまうので、反応後の酢酸水溶液の物質量は 0.0075 (mol) - 0.0025 (mol) より 0.0050 (mol) となります。

2つの溶液を混合した結果、液量が 100ml になったので酢酸水溶液の濃度は 0.0050 (mol) / 0.1 (L) より 0.05 (mol/L) となり、酢酸ナトリウム水溶液の濃度は 0.025 (mol/L) となります。
つまり調製した緩衝液は、酢酸と酢酸ナトリウムの混合水溶液です。


次に、緩衝液に含まれる物質を整理します。
さて、生成した酢酸ナトリウムは水溶液中でほぼ完全に電離します。
CH3COONa → CH3COO- + Na+

酢酸は酢酸ナトリウム由来の酢酸イオンがあるため、電離が抑制されています。
ですから、緩衝液に含まれる物質はH2Oを除くと次の3つとなります。

CH3COO- (0.025mol/L)
Na+ (0.025mol/L)
CH3COOH (0.05mol/L)


酢酸の酸解離定数(電離定数)は次の式で表せます。


この式を変形して...


[H+] = 2Ka を pH にすると...


問題文より log102 = 0.30, pKa = - log10Ka = 4.75 をそれぞれ代入すると...

pH = - 0.30 + 4.75 = 4.45

正解は