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2020年4月8日水曜日

環境計量士のためのPoint 解説 カルボニル化合物の基礎 アルデヒドとケトンの求核付加反応

1.カルボニル化合物とは?
高校でも学習したアルデヒドやケトン、カルボン酸、エステルなどがカルボニル化合物です。これらはどれもカルボニル基 C=O をもっており、これが他の置換基と結合しています。

2.カルボニル化合物の性質
酸素の電気陰性度は3.5あり、炭素の2.5よりもかなり大きいので、C=O 結合は大きく分極しています。その結果、酸素は部分的にマイナスに荷電し、炭素は部分的にプラスに荷電します。すると、マイナスに荷電した酸素にはプラスのイオンが、プラスに荷電した炭素にはマイナスのイオンが寄ってくることは想像に難くないはずです。

次に、カルボニル化合物の一般的な反応であるアルデヒドとケトンの求核付加反応をみてみましょう。


3.アルデヒドとケトンの求核付加反応
求核試薬(Nu-)は下の図で示すとおり、酸素の反対側からカルボニル基に接近し、炭素原子と結合します。それと同時に C=O 結合の二重の結合部分が切断し、炭素原子の手が4本となります。(正しくは、炭素のSP2からSP3への再混成が起きると表現します)
そして、生成した中間体は結合した求核試薬(Nu-)の性質によって次に示す2つの反応のどちらかに進みます。

①プロトン(H+)が付加して最終的にアルコールができあがる。
具体例を1つ挙げるとすると、求核試薬(Nu-)がグリニャール試薬のときこの反応が起きます。


②プロトン(H+)が付加したあと、酸素を追い出して炭素と求核試薬(Nu-)との間に新しい二重結合(C=Nu)を形成する。


具体例を1つ挙げるとすると、DNPH誘導体化によるカルボニル化合物の分析方法がこれにあたります。つまり、求核試薬(Nu-)であるDNPHのNH2基が求核付加反応してヒドラゾン誘導体を生成します。


参考文献

John, McMurry『マクマリー有機化学 第9版』東京化学同人(694~698)
亀田和久『亀田講義ナマ中継有機化学』講談社サイエンティフィック(140~145)

2019年10月5日土曜日

Point 解説 先客 "X" と "オルト・パラ配向性"

1.ベンゼンの特徴

ベンゼンの炭素間の不飽和結合( π 結合)は安定しているので、この結合を破壊するような反応はなかなか起こせません。

その一方で、これを破壊しない反応、つまり、水素を別の元素に置き換える置換反応は起こりやすいという特徴があります。

たとえば、高校で学習する有名なベンゼンの置換反応の1つにニトロ化があります。

これは、濃硝酸と濃硫酸の混合液にベンゼンを少量ずつ加え、60℃で加熱すると下の図のようにベンゼンのH+が電子を求めるNO2+(求電子試薬)に置換される反応です。




2.ベンゼンに置換基Xが結合していたら、どうなる?

もし、ベンゼンに先客として置換基Xが結合していたら、NO2+はどの位置で置換反応をするのでしょうか?

考えられる位置は次の3つです。



3.どの位置に置換反応するのかは先客であるXが支配する。

Xが次に挙げる3つの場合、オルトとパラの位置が求電子試薬に置換されやすくなります。

  1. 非共有電子対を持つ原子(フェノールなど)
  2. アルキル基
  3. ハロゲン

これは、置換基Xがベンゼンの π 結合に電子を供給する働きがあるため、ベンゼン環の π 電子密度が大きくなり、オルトとパラの位置が電子を求める試薬(求電子試薬)に攻撃されやすくなる(反応性が活発になる)からです。

逆に、π 電子密度が小さいときのベンゼン環は、メタの位置が求電子試薬に攻撃されやすくなり、ベンゼンの π 結合から電子を吸引する働きがある置換基として、次のものがあります。

  1. ニトロ基
  2. スルホ基(-SO3H)
  3. カルボキシル基(-COOH)
  4. エステル(-COOR)
  5. シアノ基(-CN)など

4.参考文献

J. McMurry『マクマリー有機化学 第9版』東京化学同人(566~575ページ)
亀田和久『亀田講義ナマ中継有機化学』講談社サイエンティフィック(115~133ページ)
亀田和久『大学入試 亀田和久の有機化学が面白いほどわかる本』(208~214ページ)