高校でも学習したアルデヒドやケトン、カルボン酸、エステルなどがカルボニル化合物です。これらはどれもカルボニル基 C=O をもっており、これが他の置換基と結合しています。
2.カルボニル化合物の性質
酸素の電気陰性度は3.5あり、炭素の2.5よりもかなり大きいので、C=O 結合は大きく分極しています。その結果、酸素は部分的にマイナスに荷電し、炭素は部分的にプラスに荷電します。すると、マイナスに荷電した酸素にはプラスのイオンが、プラスに荷電した炭素にはマイナスのイオンが寄ってくることは想像に難くないはずです。
次に、カルボニル化合物の一般的な反応であるアルデヒドとケトンの求核付加反応をみてみましょう。
3.アルデヒドとケトンの求核付加反応
求核試薬(Nu-)は下の図で示すとおり、酸素の反対側からカルボニル基に接近し、炭素原子と結合します。それと同時に C=O 結合の二重の結合部分が切断し、炭素原子の手が4本となります。(正しくは、炭素のSP2からSP3への再混成が起きると表現します)
そして、生成した中間体は結合した求核試薬(Nu-)の性質によって次に示す2つの反応のどちらかに進みます。
①プロトン(H+)が付加して最終的にアルコールができあがる。
具体例を1つ挙げるとすると、求核試薬(Nu-)がグリニャール試薬のときこの反応が起きます。
②プロトン(H+)が付加したあと、酸素を追い出して炭素と求核試薬(Nu-)との間に新しい二重結合(C=Nu)を形成する。
具体例を1つ挙げるとすると、DNPH誘導体化によるカルボニル化合物の分析方法がこれにあたります。つまり、求核試薬(Nu-)であるDNPHのNH2基が求核付加反応してヒドラゾン誘導体を生成します。
参考文献
John, McMurry『マクマリー有機化学 第9版』東京化学同人(694~698)
亀田和久『亀田講義ナマ中継有機化学』講談社サイエンティフィック(140~145)