2022年8月27日土曜日

第72回(2021.12)化学分析概論及び濃度の計算 問10

📁第72回(令和3年12月)

「JIS K0109 排ガス中のシアン化水素分析方法」からの出題頻度は、それほど多くありません。第66回(8)、第62回(14)、第59回(8) では、①ガスクロマトグラフ法と②4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法について問われました。

※カッコ内の数字は問題番号


ガスクロマトグラフ法

試料ガスを熱イオン化検出器付きガスクロマトグラフに直接導入してクロマトグラムを得る。試料採取は、吸収液を入れない吸収瓶または捕集袋に採取する。
定量範囲は吸光光度法よりも広い。


4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法

試料ガス中のシアン化水素を吸収液(水酸化ナトリウム溶液)に吸収させた後,4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン溶液を加えて発色させ、吸光度を測定する。この方法は、試料ガス中にハロゲンなどの酸化性ガス及びアルデヒド類、硫化水素、二酸化硫黄などの還元性ガスが共存すると影響を受けるので、その影響を無視できる場合に適用する。


さて、設問を見ていきます。

選択肢1
吸光光度法では、吸収液として硫酸ー過酸化水素水を用いる。

シアン化水素の吸収液は水酸化ナトリウム溶液ですから、この記述は誤りです。


選択肢2
吸光光度法では、4-アミノアンチピリン溶液で発色させる。

発色液は、4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン溶液ですから、この記述は誤りです。覚えにくい名前かもしれませんが、覚えてください。ちなみに、4-アミノアンチピリン溶液はフェノール類の試験で使用する発色液です。


選択肢4
ガスクロマトグラフ法と吸光光度法では、同じ試料採取方法を用いる。

ガスクロマトグラフ法は試料ガスを直接装置に導入するので、シアンを吸収液に吸収させる必要はありません。しかし、吸光光度法は吸収液(水酸化ナトリウム溶液)に吸収させる必要がありますから、両者は同じ試料採取方法ではありません。


選択肢5
ガスクロマトグラフ法における定量範囲は、吸光光度法のそれと比較して狭い。

ガスクロマトグラフ法の定量範囲は、吸光光度法の定量範囲よりも広いですから、この記述は誤りです。

正解は3