令和元年 環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説
問10(第70 環濃)
排ガス中の窒素酸化物の分析方法はそこそこの頻度で出題されますから、少しまとめておきましょう。
排ガス中の窒素酸化物の分析方法の規格は、JIS K0104 と JIS B7982 の2つです。
前者は採取したガスを実験室で分析法を行う化学分析法の規格であり、後者は自動計測システムの規格です。
そして、JIS
K0104では5つの分析方法が規定されていますが、試験に出題されたことがあるのは次の2つだけです。
①イオンクロマトグラフ法
試料ガス中の窒素酸化物をオゾン又は酸素で酸化し、硫酸(0.005 mol/L)−過酸化水素水 (1+99) に吸収させて硝酸イオンとして定量します。
②ザルツマン吸光光度法
試料ガス中の二酸化窒素をスルファニル酸−ナフチルエチレンジアミン酢酸溶液に通して発色させ,吸光度(545
nm)を測定します。
また、この方法には他の4つの分析方法と異なる特徴があります。他の4つの分析方法は
一酸化窒素と二酸化窒素を測定対象としていますが、ザルツマン吸光光度法だけが二酸化窒素のみを測定対象としています。
JIS
B7982では4つの分析方法が規定されていますが、試験に出題されるのは化学発光法のみです。
この方法の原理は、一酸化窒素とオゾンを反応させたときに生成される光化学的に励起状態にある一酸化窒素の発光強度を測定するものです。これにより試料大気中の一酸化窒素濃度を測定することができます。
また、二酸化窒素を一酸化窒素に還元することによって、試料大気中の窒素酸化物の濃度が測定できます。
それでは、設問を解いていきます。
既に説明したとおりイオンクロマトグラフ法は、試料ガス中の窒素酸化物をオゾン又は酸素で酸化し、硫酸(0.005
mol/L)−過酸化水素水 (1+99) に吸収させて硝酸イオンとして定量します。
したがって、( ア )には「オゾン又は酸素」が入り、( イ )には「硫酸(0.005
mol/L)−過酸化水素水 (1+99)」が入ります。
そして( ウ )には「硝酸イオン」が入りますから、正解は5になります。