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2020年4月28日火曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 2019.12 問24

令和元年(12月)第70回

高校で学習するアルコールの性質と反応についての知識を問う問題。


「比誘電率」という見たことも聞いたこともない用語があるので、ここはは後回し。

アルコールのように-OH(ヒドロキシ基)を持つ分子には H+(プロトン)を出す力があります。アルコールの場合、その力は水よりも弱いため、H+ を出すけれど中性物質に分類されてしまう。
さて、アルコールに強い還元力をもつ金属ナトリウムを加えますと、Na は H+ を還元してH2 にしてしまいます。

2R-OH + 2Na → 2R-ONa + H2

したがって、選択肢2の記述内容は誤りです。
余談ですが、この反応はエーテルのような -OH(ヒドロキシ基)をもたない有機物には起こらないので、-OH をもつ有機物の検出に用いられます。



図のように、エタノールの酸素原子には非共有電子対があります。
したがって、選択肢の記述内容は誤りです。



問23で解説しましたが、炭素数が3つ以下のアルコールは水に可溶です。これに対し、ヘキサンはアルカン(鎖式飽和炭化水素)ですから、ヒドロキシ基(-OH)をもたないので水に不溶です。

したがって、選択肢の記述内容は誤りです。



はじめに、ヘキサンとエタノールの分子式を書いてみます。

ヘキサン :C6H14
エタノール:C2H6O

※ヘキサン(hexane)は6つの炭素が結合したアルカンです。
高校化学では必ずしも扱う物質ではありませんが(実務ではよく扱います)、hexaが6を意味し、aneがアルカン(alkane)を意味することを考えれば、その分子式が C6H14 であることは想像に難くないはずです。

次に、それぞれの原子量を C=12, O=16, H=1 として分子量を計算します。

ヘキサンの分子量 :12×6+1×14=86
エタノールの分子量:12×2+16×1+1×5=46

したがって、 選択肢の記述内容は誤りです。
以上より、正解は消去法でとなります。