2020年4月4日土曜日

第69回環境計量士国家試験(環濃)問10の解説

問10(第69回 環濃)
排ガス中のアンモニアの分析をするのであれば、何らかの方法でアンモニアを液体に吸収しなければなりません。吸収されたアンモニアはアンモニウムイオンとなるのですが、この吸収液がアルカリ性であった場合、再びアンモニアは遊離してしまいます。

NH4 + OH- ⇄ NH3 + H2O

そして遊離するアンモニアは蒸気圧が高いので、蒸発しやすい物質です。
この内容は高校化学レベルの基本中の基本なので絶対に知っておいてください。

ですから、吸収液が水酸化ナトリウム溶液である選択肢のは誤りだとわかります。


さて、溶液中のアンモニウムイオンの分析方法について環境計量士が知っておくべき分析方法は次の4つです。

①インドフェノール青吸光光度法
②中和滴定法
③イオン電極法
④イオンクロマトグラフ法

①のインドフェノール青吸光光度法について見てみましょう。

この方法はアンモニウムイオンが次亜塩素酸イオンの共存下でフェノールと反応して生じるインドフェノールの青の吸光度を測定して、アンモニウムイオンを定量する方法です。


ここで選択肢を見てみますと。。。
フェノール」と「次亜塩素酸」の語句が選択肢にあるので、これが正解です。


他の選択肢も見ておきましょう。
 ナフチルエチレンジアミン吸光光度法は、溶液中の亜硝酸イオンの分析方法として有名ですから、覚えてください。

 これは排ガス中の二硫化炭素分析方法(JIS K0091)です。
排ガス中のジエチルアミン銅溶液に通じて吸収させたのち、吸収液中に生成したジエチルジチオカルバミン酸銅の吸光度を測定し、二硫化炭素を定量します。

 これは排ガス中の硫黄酸化物分析方法(JIS K0103)です。
排ガス中の硫黄酸化物を過酸化水素水に吸収させて硫酸にした後、2-プロパノールと酢酸とを加え、アルセナゾ III を指示薬として酢酸バリウム溶液で滴定します。