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2020年2月9日日曜日

Point 解説:化学反応式からわかること

化学反応は言葉で表現するよりも、化学反応式で表現するほうが相手に誤解なく伝わります。そして、化学反応式からより多くの情報も読み取ることが可能です。

今回はそんな化学反応式に関するお話です。


1.物質量(モル)とは?

たとえば、メタンガスの完全燃焼は次の化学反応式で表せます。

CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O

この化学反応式を和訳すると、

「1つのメタン分子と、2つの酸素分子が化学反応を起こすと、1つの二酸化炭素と、2つの水分子ができる」

といったところでしょう。

ここで注目してほしいのは、化学反応式は分子の個数で考えているという点です。

ところが、実際にメタンガスを完全燃焼させる際、分子の個数ではなく、体積や質量で考えます。だって、1ℓ のメタンガスは扱いやすいけど、1つのメタンガス分子なんて扱えませんからね。

つまり、原子や分子を個数で考える世界と、原子や分子を体積や質量で扱う世界、2つの世界をつなぐ何かが必要となります。

それが物質量(モル)です。
(ちなみに、モルは盛土を意味するラテン語molesが由来です)

物質量は次のように定義されています。
物質 1molとは、12C 12g中に含まれる12C 原子の数のことであり、その数は6.02×1023 個です。

ちょっと分かりづらいと思うので、具体例を出しましょう。

先ほどは、「1つのメタン分子と、2つの酸素分子が化学反応を起こすと、1つの二酸化炭素と、2つの水分子ができる」と言いました。

しかし、正確には「1molのメタン分子と、2molの酸素分子が化学反応を起こすと、1molの二酸化炭素と、2molの水分子ができる」です。

そして、1molの原子または分子の数=6.02×1023 個ですから、
メタンガスの完全燃焼に関わる物質について、その分子の数を求めると次のようになります。



2.物質量(mol)と質量の関係


物質量(mol)と質量の関係については、次のことが言えます。
ある原子 1molの質量は、原子量に g(グラム)をつけたものです。

再び、メタンガスの完全燃焼を例にして、この反応に関わる分子の質量を計算してみましょう。

炭素、水素、酸素の原子量をそれぞれ 12, 1, 16とすると、それぞれの分子の質量は次のようになります。



上の化学反応式から 16g のメタンガスを完全燃焼するためには、64g の酸素が必要なこと、そして燃焼の結果、44g の二酸化炭素と 36g の水が発生することがわかります。


3.物質量(mol)と体積の関係

物質量(mol)と体積の関係については、次のことが言えます。
温度・圧力・体積が同じであれば、そこに含まれる分子の数はどんな気体でも同じです。(アボガドロの法則)

たとえば、標準状態(0℃, 1013hPa)で体積が 22.4 L のとき、どんな気体の分子の数も6.02×1023 個になります。
6.02×1023 個は 1 mol のことですから、ある気体の分子 1 mol の体積は、標準状態であれば 22.4 L となります。

これを踏まえると、メタンガスの完全燃焼に関わる物質について、その分子の体積は次のようになります。


このように化学反応式から、その反応に関わる分子の数、質量、体積を読み取ることができるのです。