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2024年4月6日土曜日

環境計量士とイオン電極法(2)

応答こう配とは?

イオンの濃度が異なるとイオン電極から得られる電位は異なるという話は「環境計量士とイオン電極法(1)」でしましたね。
だから、濃度が異なる2種類の溶液から得られる電位に差があることは当然のことなのだけれど、もし2種類の標準液の濃度が10ppmと100ppmのように1けた異なるとき、このときだけは得られた電位の差を応答こう配とよびます。

たとえば、温度25℃で1価の陽イオンの応答こう配は約 59 mV になり、この値はネルンスト式に次の数値を代入することで求められます。

気体定数 (R) は 8.31 J/mol・K、ファラデー定数 (F) は 96500 c/mol、絶対温度 (T) は温度25 ℃ だから 273+25 より 298 K、イオン価数 (z) は1

 E = E0 + [ 2.303 × 8.31 × 298 1 × 96500 ] log a

これを計算すると...

E = E0 + 0.059 log a

応答こう配は "濃度比が1けた異なるとき" すなわち ”濃度が10倍異なる” ときの電位差だから、イオンの活量 (a) には 10  が入ります。 log10 = 1 だからイオン電極の電位 EE0 + 0.059 V(59 mV)となり、"濃度比が1けた異なる" と 59 mV 高くなることが分かります。つまり、濃度が10ppmと100ppmとでは電位差(応答こう配)が 59 mV になります。

2価の陽イオンの場合、z = 2 ですから

E = E0 + 0.0295 log a

59 mV の半分の約 30 mV になります。

また、1価の陰イオンの応答こう配は-59 mV、2価の陰イオンの応答こう配は-30 mVになります。

要するに、陽イオンなら+、陰イオンなら−、1価なら 60 mV、2価なら 30 mV と覚えておけばOKです。


第71回(令和2年)環濃

 〔解説〕
(ア)の行の「応答こう配」が「-50 ~ −60」ですから、(ア) には1価の陰イオンが入ります。 したがって、選択肢は1, 3, 5に絞られました。

(イ)の行の「電極の種類」が「Ca2+」ですから、(イ) には「30」が入ります。したがって、選択肢は1のみに絞られました。

〔解答〕


第63回(平成25年)環濃

〔解説〕
(ア)の行の「応答こう配」が「50~60」ですから、(ア) には1価の陽イオンが入ります。
したがって、選択肢は1, 3, 4に絞られました。

(イ)の行の「電極の種類」が「S2-」ですから、(イ) には「-30」が入ります。
したがって、選択肢は1のみに絞られました。

〔解答〕