はじめに「2-ペンタノール」の構造式を確認しよう。
右から2番目の位置に -OH がついた C が5つのアルコールだ。(左から2番目でもOK)
これを50%硫酸水溶液に加えて、水浴上で加熱すると何が起きるのか?
はじめに、ヒドロキシ基(OH-)が酸によってプロトン化されてH2Oとして外れる。
次に C+ に隣接する炭素の H がプロトンとして H2O に引き抜かれ、C=C ができる。
したがって、C=C がない選択肢1と5は誤り。
次の焦点は C=C の位置だ。
つまり、一番端のCと二重結合を作るのか、それとも三番目のCと二重結合を作るのか?
ここで必要となる知識が「ザイツェフ則」。
「ザイツェフ則」とは「より多くのアルキル基をもつアルケンを生成する」ことであり、これを言い換えれば「β 位の H 原子が少ないほうが引き抜かれる」ということ。
左側の C のほうが H が少ないので、こちらから H が引き抜かれます。
したがって、2番目と3番目の炭素が二重結合で結ばれますから、選択肢2は誤り。
最後にシス形とトランス形のどちらのほうが安定するのか?という話になるのだけれど、これはトランス形のほうが安定します。選択肢の3と4の構造図を見てみると、4のほうが窮屈というかバランスが悪い感じがしませんか?4のほうは置換基同士(CH3とC2H5)が反発してしまい、不安定な状態になります。
正解は3