アルミニウムの性質に関する出題ですね。環境計量士の試験としては珍しいテーマの内容ですが、問われている知識は高校の学習範囲です。
ミョウバンは水に溶けると酸性を示します。これはミョウバン水溶液中に存在する Al3+ が H2O と加水分解するためです。
Al3+ + H2O ⇄ Al(OH)2+ + H+
※ただし、本当は Al3+ に6つの H2O
が配位したアクア錯イオン( [Al(H2O)6]3+
)として存在しており、Al3+ に配位結合している H2O
分子の H は電子が
Al3+ へ引き寄せられているため、配位結合していない通常の
H2O 分子の H より
σ+ が大きくなっています。その結果、H+ として電離しやすくなったと考えるのがより正しい理解です。
ここで選択肢の(ウ)を見てみましょう。
” フェノールフタレイン溶液を滴下すると、水溶液は赤色になる ”
フェノールフタレインは pH が約 9 以上で赤色になる指示薬です。ミョウバン水溶液は酸性ですから、フェノールフタレイン溶液を滴下しても赤色にはなりません。したがって(ウ)の記述内容は誤りであり、選択肢の1~5のうち、(ウ)を含まない2と5のどちらかが正解です。
選択肢の2と5を見比べてみますと(ア)がポイントのようですから(ア)の記述を見てみましょう。
” 濃アンモニア水を十分量加えると、白色の沈殿を生成する ”
Al3+ が存在する水溶液に濃アンモニア水を十分量加えると白色の Al(OH)3 が生成しますから、(ア)の記述に誤りはありません。
したがって、正解は2。