2022年8月10日水曜日

第72回(2021.12)環境計量に関する基礎知識(化学)問25

📁第72回(2021.12)

ルシャトリエの法則とハーバーボッシュ法における平衡移動に関する設問です。高校化学の知識と思考力で対処可能です。


ルシャトリエの法則
化学平衡状態にある可逆反応において、温度・圧力・濃度などの条件を変化させると、その変化を妨げる方向(変化を打ち消す方向)に平衡が移動し、新しい平衡状態になること。

設問を解きながら具体的な平衡移動を見ていきましょう。

(ア)圧力を上げると体積が小さくなりますから、容器の中は窒素分子と水素分子とアンモニア分子で満員状態です。そこで満員状態を解消するために窒素分子と水素分子が反応することで両者の数は減少し、容器内の気体の総分子数は減少します。もちろん、アンモニア分子は増加しますが、それでも総分子数は減少します。

したがって、平衡は右向きに移動することになります。(ア)を含む選択肢は1と2だけですから、どちらかが答えになります。


(ウ)アンモニアを取出すと容器内は水素と窒素が過剰になりますから、アンモニアを生成する反応が起きます。すなわち、平衡は右向きに移動します。

選択肢は1に絞られたのでこれが正解。


(イ)アンモニアの標準生成エンタルピーが-46.2kJ/molだから、窒素と水素が反応してアンモニアが生成すると発熱します。温度を高くすると温度を下げる方向に平衡が移動しますから、アンモニアは窒素と水素に分解します。

したがって、平衡は左向きに移動します。


(エ)アルゴンは不活性ガスなので他の分子と反応しません。体積が一定だから圧力が上がるのでは?と考えられますが、水素・窒素・アンモニアの分圧は変わらないので平衡は移動しません。


(オ)触媒は反応速度(平衡状態に達するまでの時間が短くなる)に影響を与えるだけであり、平衡の移動は起こりません。