ページ

2020年6月23日火曜日

低学歴な派遣社員が環境計量士(濃度関係)を受験したら合格した話

1.環境計量士国家試験‼

それは日本全国の野心に満ちた環境系化学分析員たちの知識・忍耐力・思考力が試される選抜試験のことである。

ある者は社内での地位と給料を上げるため・・・
ある者は転職を成功させるため・・・

合格率15%前後と言われるその難関に挑み、そして散っていく・・・


2018年夏、正社員でさえ突破が困難なこの難関に派遣社員が挑む。

「文系Fラン大卒の派遣社員には無理だ。」

毎年、この試験に挑み続けて10年以上のベテラン中年正社員は冷静に分析し、こう言い切る。

はたして、その結末は・・・?


2.学習計画を立てる

はじめに、現在の自分の学力と合格に必要な学力の差を見極めるため、直近(第68回)の過去問を経済産業省のHPからダウンロードして解いてみた。

結果は、「計量管理」の正答率は4割ぐらい、その他は3割ぐらい。
合格には程遠いいが、「計量法」はやればすぐ伸びる!という感触を得た。

ネット上の合格体験記には、”「環化」は難しく時間を必要とする科目なので早い時期から勉強すべき ” との意見が散見されたが、私は「計量法」と「計量管理」の基礎固めを優先した。

なぜなら、8月に「計量法」と「計量管理」の基礎固めを完成させることができれば、それは自信となり、仮に「環化」の基礎固めが9月中に終わらなくても焦りや不安を感じないはずと考えたから。

というわけで、8月と10月は「計量法」と「計量管理」、9月と11月は「環化」と「環濃」、8月と9月で基礎を完成させ、10月から過去問演習をスタート。12月は総まとめという大まかな計画を立てた。


3.いつ勉強するか?

問題発生!平日の勉強が全く捗らない・・・

普段の私は19時過ぎ頃会社から帰宅し、それから夕飯、入浴などで、勉強が始められるのは22時頃になってしまう。朝は6時半に起床するので、6時間の睡眠時間を確保するとなると勉強時間は22時~24時のおよそ2時間。しかし、その2時間ですら集中できず、時間だけが無駄に過ぎていく。

そこで私は、夜型の勉強スタイルから朝型の勉強スタイルに変えることにした。

具体的には22時に就寝、4時半に起きて6時半まで勉強。これに加えて、昼休みの30分間も勉強時間に充てることで、平日は2.5時間の勉強時間を確保。

私が朝型の勉強スタイルに切り替えたのが8月からなので、12月の試験当日までの平日の勉強時間はおよそ200時間以上ということになる。

休日も平日と同じ時間に起床し、途中休憩を挟みながら9時頃まで勉強。予定がなければ午後の1時ごろから4時ごろまで勉強。

これで休日は4~7時間の勉強時間が確保できたことになり、12月の試験当日までの休日の勉強時間はおよそ150時間以上となった。

試験のために費やした総学習時間は350時間以上といったところだ。

わたしは朝型に切り替えて成功したけど、夜型のほうが成功する人もいるから、それぞれ自分に合った勉強スタイルを早い段階で見つけることがポイントだと思う。



4.8月~9月

低収入で勉強にお金をかけられない私は、図書館で偶然見つけた『よくわかる環境計量士試験(弘文社)』を使って勉強した。


「計量法」は問題を解いて、解説と条文を読んで納得するまで理解し、これを覚える作業を何度も何度も繰り返す。これ以外何もしていないが、これで十分だ。

「計量管理」も問題を解いて解説を読む。それでも分からないことはgoogleで検索。ただ、自動制御の項目はどうしても分からなかったので潔く諦めた。

多くの人が手を焼くと思われる統計は、2年前に仕事でどうしても必要だったので集中的に勉強していたおかげもあって、それほど苦労した記憶はない。

8月は計画通りに勉強を進め、その進捗状況もほぼ問題なかったので、9月は予定通り、「環化」と「環濃」の勉強を開始した。

ところが、ここで進捗状況に狂いが発生。

「環化」の問題が解けない!解説を見ても全く理解できない!

そもそも『よくわかる環境計量士試験(弘文社)』は、問題数も少なく、解説も不親切だ!
・・・とテキストに八つ当たりをして自分を正当化したいところだが、そんなことをしても状況は良くならない。

これまで仕事で必要なモル計算、酸化還元反応、中和反応は勉強したことがあるが、気体、熱化学、電気化学、有機化学は勉強したことがない。(高校でも化学を履修してないし...)

そこで大学受験用の参考書を買ってきて、高校化学からはじめることにした。大学受験用の書籍は低価格だし、中古書も選び放題だから低収入な底辺派遣社員にはありがたい。

「環濃」は『よくわかる!環境計量士試験 濃度関係』に収録されている問題数があまりにも少なかったので、過去問にいち早く取り掛かかる。

普段から業務で使用する分析機器や試験規格は徹底的にjisや専門書を読み込んできたので、それほど苦労しなかったけど、それでも実務経験の少ない大気分析や有機分析には苦労した。


5.10月~試験直前

結局、9月中に環化の基礎が完成しなかったので、10月の平日は「環化」、休日は「計量法」と「計量管理」という勉強計画に立て直した。その結果、10月中になんとか「環化」の基礎は完成し、「計量法」と「計量管理」は1~2年分過去問演習に手をつけることができた。

11月は「環化」と「環濃」の過去問演習をするはずだったが、4科目を交互に勉強する計画に変更し、平日は4科目の過去問演習、休日は分からない箇所を調べに図書館へ行くという日々が続いた。
また、受験票が手元に届いたのもこの頃だった。

12月に入った頃には、3年分の過去問をやり終えており、さらにもう1年分の過去問に手を付けたが、ここで難問と遭遇。試験直前にして自信を失い、不安と焦りが生じた。
そこで、これまでの復習を徹底的に行うというスタイルに戻し、試験当日までメンタルを良好な状態に保つことにした。

試験直前期は新しいことに手を広げるのではなく、復習に徹したほうが精神的に良さそうだ。



6.試験前日と当日

受験会場が自宅からそこそこ距離のある場所だったので、試験前日の土曜日は受験会場近くのビジネスホテルに宿泊した。試験当日の朝に自宅を出ても間に合う距離ではあったが、電車が遅れたりして焦るよりも、試験本番で実力を発揮できる体制に整えることを重視した。それでもホテル代は痛い出費だ。

試験当日は集中力を維持するために、休憩時間に必ず水分補給と間食を摂った。身体から2%の水分が失われると、集中力が極端に低下するらしい。また、食後3時間で血糖値が低下するため、血糖値をおだやかに変化させるナッツ類の摂取が集中力の維持に役立つようだ。


7.まとめ

紆余曲折あったが、なんとか合格することができた。合格に必要なことは数え上げたらキリがないけど、いくつか挙げたいと思う。

  • 大まかな学習計画を立て、必要に応じて修正する。
  • 自分の集中力をコントロールする。
  • 不安と焦りを取り除く。
こんなところかな。

関連ページ