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2020年4月26日日曜日

第70回環境計量士国家試験(環化)問21の解説

問21(第70回 環化)
高校で学習する内容です。できなかった個所は完璧になるまで繰り返し練習しましょう。

イオン化エネルギー
原子から電子を取り去るには、くっついているものを引き離さなければならないので、外部からエネルギーを加える必要があります。

たとえば、アルカリ金属のような陽イオンになりやすい元素は加えるエネルギーが小さくて済みますが、希ガスのような非常に安定した原子から電子を取り去るには大きなエネルギーが必要となります。

このエネルギーには名前があります。
(第1)イオン化エネルギー といい、気体状態の原子から電子1個を取り去るのに必要なエネルギーのことです。

また、同族元素では原子番号が大きくなるほど(周期表の下にいくほど)イオン化エネルギーが小さくなります。
その理由は、原子番号が大きくなるほど取り去る電子と原子核との距離が大きくなるためです。


電子親和力
電子と引き離されている原子には、電子とくっつきたいという激しい衝動があります。その衝動の強さ・激しさは原子によって異なりますが...

たとえば、ハロゲンのように簡単に陰イオンになりやすい元素には、電子とくっつきたいという衝動が強いですし、アルカリ金属のように陽イオンになりやすい元素には、電子とくっつきたいという衝動は弱いです。

願いが叶って、原子は電子と一緒になれたとします。
電子と一緒になれた原子からは激しい衝動が消え去りますが、この消え去る激しい衝動には名前があります。
電子親和力 といい、気体状態の原子が電子1個を受取って1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーのことです。


設問の解説

 
設問にある「基底状態にある原子から電子を取り去って無限に遠ざけるために必要なエネルギー」とは、イオン化エネルギーのことです。



イオン化エネルギーは、同族元素では原子番号が大きくなるほど(周期表の下にいくほど)小さくなります。
けい素のほうが炭素より原子番号が大きいので、イオン化エネルギーは小さくなります。


正解は


既に正解は出ましたが、残りの選択肢も見てみます。


電気陰性度は、結合状態の原子が共有電子対を自分の方へ引き寄せる強さを数値化したものです。この数値は化学を学習する上で非常に大事なものですから、次に挙げるものは覚えてしまいましょう。

F (4.0) > O (3.4) > Cl (3.2) > N, Br (3.0)


4
原子半径は、原子の中心から最外殻電子が存在している所までの距離です。つまり、K殻=第1周期、L殻=第2周期、M殻=第3周期... の順番に原子半径は大きくなります。

設問のように同じ周期の中だけで考えるときは、原子番号が決め手となります。

最外殻の電子は原子核の中にある陽子に引き寄せられおり、「陽子の数が多い」=「引き寄せる力が強い」ことを意味します。

そして「陽子の数」=「原子番号」ですから、同じ周期では原子番号が大きいほど原子半径は小さくなります。


5
陰イオンになると、電子の増加による電子同士の反発力が大きくなり、原子半径は大きくなります。