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2020年4月12日日曜日

第69回環境計量士国家試験(環濃)問23の解説

<問23>
ICP質量分析装置に関する出題です。
選択肢の記述内容はどれも基礎的で大事な内容です。最終的には全部覚えてしまうぐらいのつもりで学習してください。

ICP 質量分析装置の仕組みを簡単に説明すると次のようになります。

①試料溶液をネブライザーで霧化し ICP へ導入する。
②ICP で試料中の金属元素の一部をイオン化する。
③ICP で生成したイオンやその他粒子などを真空部へサンプリングする。
④真空部にサンプリングしたイオンやその他粒子などからイオンを効率よく引き出す。
⑤質量分離部でイオンをその質量によって分離する。
⑥検出部は質量分離部で分離されたイオンを検出し、読み取り可能な信号に変換する。

詳細は長くなるので関連ページで学習してください。


設問は、正しいものを1つ選べと書いてあるので、誤りを4つ見つけることになります。

選択肢
スプレーチャンバーの役割について書かれています。
スプレーチャンバーの役割は ICP 発光分光分析装置と同じで、ネブライザーで霧化した試料溶液のうち、粒径の小さい霧だけを選択して、プラズマに導くことです。

したがって、「粒径の大きい霧だけを選択して、プラズマに導く」という記述が誤りです。

選択肢
ICP で生成したイオンやその他粒子などを真空部へサンプリングする役割を担うのが、サンプリングコーンとスキマーコーンです。

誤りはなさそうです。

選択肢
イオンレンズ部の役割は、真空部にサンプリングしたイオンやその他粒子などからイオンを効率よく引き出し、質量分離部に導くことです。
質量分離部に導かれるのはイオンですから、「中性粒子」という記述が誤りです。

選択肢
イオンをその質量によって分離する質量分離部には種類がありますが、市販されている多くは四重極形質量分析計(QMS)です。
QMS は、4本の電極ロッド(四重極)に直流電圧と交流電圧を与えることで、ある特定の質量(m/z値)のイオンだけがはじき飛ばされずに通過できる電場(電界)を形成させます。

ちょっと難しいかもですが、QMS は固定磁場ではなく電場(電解)を利用しています。
したがって、選択肢4の記述内容は誤りです。

選択肢
検出部の役割は質量分離部で分離されたイオンを検出し、読み取り可能な信号に変換することです。

したがって、「電子」という記述が誤りです。


正解は