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2019年10月10日木曜日

環境計量士のための Point 解説 アミンの塩基性度

はじめに、メチルアミンについて考えてみましょう。
下の図のように、メチルアミンは窒素が非共有電子対を持っているため、H+を受取りやすい性質があります。

ブレンステッド・ローリーの定義では、H+を受取る物質のことを塩基といいます。つまり、この非共有電子対がメチルアミンを塩基性にする働きをしているのです。


アミドは塩基性を示さない!

窒素のとなりがカルボニル基の場合を考えてみましょう。
カルボニル基の特徴は、酸素と炭素の電気陰性度が異なるために分極構造となっている点です。
そのため、窒素の非共有電子対がカルボニル基に電子を供給してしまい、H+を受取ることができなくなります。



ベンゼン環をもつアミンの塩基性は弱い

一方で、ベンゼン環を持つアミンはどうでしょうか?
ベンゼン環に窒素のような非共有電子対を持つ原子が置換すると、オルトとパラの位置が求電子試薬からの攻撃を受けやすくなります。
これは非共有電子対を持つ原子がベンゼンの π結合に電子を供給する働きがあり、ベンゼン環の π 電子密度が大きくなるためです。(詳細はリンク先を確認してください)


したがって、ベンゼン環を持つアミンは窒素の非共有電子対がベンゼン環の π 電子と相互作用してしまい、H+との結合に使われにくくなります。その結果、メチルアミンやアンモニアより塩基性が弱くなるのです。


参考文献

J. McMurry『マクマリー有機化学 第9版』東京化学同人(46~49, 936~941)