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2022年8月10日水曜日

第72回(2021.12)環境計量に関する基礎知識(化学)問24

📁第72回(2021.12)

ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムの酸化還元滴定に関する設問です。高校の学習範囲に入るのか判断が微妙なところです。

酸化還元反応で大事なことは、酸化剤と還元剤の半反応式を書き出すことです。半反応式を書き出すことで酸化剤と還元剤の価数(z)が分かりますから、あとは酸化還元滴定の公式に当てはめて計算するだけるだけです。

酸化剤:I2 + 2e- → 2I-(z=2)

還元剤:2S2O32- → S4O62- + 2e-(z=1)

ちなみに、 価数(z)とは1molの酸化剤または還元剤が何molのe-を授受できるかを表した値のことです。

1molのヨウ素は2molの電子を受取ることができますが、1molのチオ硫酸イオンは1molの電子を授けることしかできないので、このままでは酸化還元反応が成立しません。ですから、反応式にあるように1molのヨウ素に対して2molのチオ硫酸イオンが反応することになります。


次に、それぞれの価数を酸化還元滴定の公式に当てはめて、まずは遊離したヨウ素の濃度を求めます。

酸化還元滴定の公式
zCV = z'C'V'

「z」にはチオ硫酸の価数である「1」を入れます。
「C」はチオ硫酸ナトリウム水溶液の濃度(mol/L)
「V」はチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴定量(ml)

「z'」にはヨウ素の価数である「2」を入れます。
「C'」はヨウ素の濃度(mol/L)
「V'」はヨウ素を含有する溶液の体積である100(ml)を入れます。

以上より CV = 2×C'×100
したがって、ヨウ素の濃度 C'= CV 200 (mol/L)


最後に、ヨウ素酸カリウム水溶液の濃度を求めます。

問題文にある反応式 KIO3 + 5KI + 3H2SO4 → 3K2SO4 + 3H2O +3I2 より、1mol/Lのヨウ素酸カリウム水溶液から3mol/Lのヨウ素が生成されることが分かります。

つまり、ヨウ素酸カリウムの濃度 = ヨウ素の濃度 ×

これに、ヨウ素の濃度=  CV 200 を代入して

ヨウ素酸カリウム水溶液の濃度 = CV 200 ×

正解は


※チオ硫酸の「チオ」とは?

1つの酸素原子が硫黄原子に置換したことを示す接頭語のことであり、チオ硫酸イオンは図のような構造になっています。

これがヨウ素によって酸化されるとテトラチオ硫酸イオンが生成します。