2021年5月15日土曜日

環境計量士(濃度関係)国家試験問題の解説(環化) 第71回(令和2年)問16

 📁第71回(令和2年)

“ラウールの法則”って高校で学習するのかな?蒸気圧降下の話の延長だから内容としては難しくないはず。

液体(溶媒)に不揮発性の物質(溶質)を加えると蒸気圧が下がる。これは溶媒の蒸発を溶質が邪魔をしているとイメージしてもらえれば良い。何も溶けていない液体の蒸気圧を P0、何かが溶けている液体の蒸気圧を P としたとき、P0 > P の関係が成立する。これが蒸気圧降下。

そして、蒸発の邪魔をする溶質を増やせば、蒸気圧はさらに低下する。つまり、溶液の濃度と蒸気圧との間には何らかの法則があり、それは次の式で示すことができる。

P = P0 × 溶媒のモル分率 

これをラウールの法則という。この法則を使って問題を解いていこう!


P0 は、何も溶けていない液体の蒸気圧のことだから P0 = 水の蒸気圧 となる。25℃における水の蒸気圧が3.17 kPa と問題文にあるから、P0 = 3.17 <kPa> 

P は、何かが溶けている液体の蒸気圧のことだから、P = グルコース水溶液の蒸気圧

溶媒のモル分率 とは、 溶媒の物質量 /( 溶媒の物質量 + 溶質の物質量 )のことだから、 水の物質量 /( 水の物質量 + グルコースの物質量 )となる。

「水の物質量」が 180 <g> / 18 <g/mol> より 10 <mol>、
「グルコースの物質量」が18 <g> / 180 <g/mol> より 0.1 <mol>

したがって、溶媒のモル分率 は 10 <mol>/ (10 <mol> +0.1 <mol>)より 0.99


ラウールの法則より

グルコース水溶液の蒸気圧 = 3.17 (kPa) × 0.99 = 3.1383

正解は


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